TITLE: 第13の機構 −歴史に消えた消失魔導− |
■ 大陸歴 599年 11月 15日 ブランドブレイ王国 |
首都ブランドブレイ
露店市場 |
|
大陸標準時 10:15 am □ |
「なぁ、マティルダ。 さっき古物も扱っているって言っていたよな?」 | |
「買ってくれるの? このディラック商会の品揃えは凄いわよ。 店主のあたしが全部自分で仕入れてきたんだから。」 | |
「……その一言でなんかとても不安になったな。」 | |
「人間、心にやましいことがあるととても不安に気分になるのよ。 いいのよ、例え貴方が後ろめたい過去を持っていたとしても 不安と戦いながら虚しく生きていくのもいいと思うの。 思うだけね、思うだけ。」 | |
「……俺が悪かった。 それで、どんな物があるのか見せてくれないか?」 | |
「そうねぇ……『3日で分かる禁呪』こんなのどう?」 | |
「いかにも怪しいな、それ。 書いたの誰だよ?」 | |
「ラファエル王国初代宰相エルネスト。」 | |
「はぁっ!? ……ちょっと待てよ、もし本物だとしたら国宝級のシロモノが なんでこんなところで出回ってるんだよ?」 | |
「大丈夫、虚しい偽物だから。」 | |
「売るな、偽物。」 | |
「一人ぐらい騙される人もいるんじゃないかなーっと思って。 ほら、読み終わった後に騙されたことに気づいて、 虚しい気分になれること請け合いよ。」 | |
「……で、いくらなんだ、それ?」 | |
「えっとね、市場価格は1000リルね。」 | |
「日本円で5万円。 誰が買うんだ、そんな本。」 | |
「偽物だけど一応手書きだから世界に一冊しかないのよ? そのうちプレミアつくかも……。」 | |
「つかない。絶対につかない。 っていうかそれは商法違反だぞ、おい。」 | |
「小さい事気にしないの。 じゃないと虚しい大人になっちゃわよ。」 | |
「どうしてすぐにそう何でもかんでも虚しくするんだ、お前は?」 |
どこに移動しますか? |
|||
【 都市中心街 】 | 【 沿岸貿易街 】 | 【 露店市場 】 | 【 城塞跡公園 】 |
イベント名『ディラックの虚数解』
Copyright(c)1999 Fubuki Kogarashi (木枯 吹雪)