TITLE: 第13の機構 −王都に告げる風雲急−

大陸歴 599 11 24 ブランドブレイ王国
首都ブランドブレイ
都市中心街
大陸標準時 4:15 pm

MESSAGE:
「すらりとした支柱ーっ!」
「……やっぱり帰るか。」
「あら、コペルニクス騎士団長、ご無沙汰しております。」
「む。これはグロリア令嬢、ご機嫌麗しく。」
「うるうるわしわし。」
「ん?なんだ、お前ら知り合いなのか?」
「またれい、グロリア令嬢に向かってお前とは何事か。
 こちらのお方は由緒正しきシュレーディンガー名家の
 ご息女にあられられるぞ。」
「……お前そんなに立派な家の人間だったんだ。
 単に、自称『猫と会話してる』ちょっと危ない
 天然娘だと思ってた。」
「あら、ちゃんとこの子は喋っていますですわ。」
にゃー。
「はいはい。」
「ねこさんこんにちはー。」
にゃー。
「挨拶してくれたですよ!」
「はいはい。」
「それで、本日は如何なるご用件で。」
「私はこのシュレーディンガーの猫と共に
 お手伝いをしているだけで、
 お話はこちらの……。」
「ふん、なんだそちか。
 余の瞳が黒いうちには、
 すらりとした支柱には指一本触れさせんぞ。」
「お前の瞳べつに黒くないだろ。」
「何ぃ!?腹が黒いだと!?」
「そんなこと言ってねぇ。
 あー、なんでこうも話が脱線するんだ。
 ちょっと騎士団長様にお尋ねしたいんだが。」
「だから何だ。」
「この都市の中心部に運河が走っているだろう。
 あの運河の成立について何か知っている話はないか?
 そう、例えば建国間もない頃の話とか。」
「!
 ほう、感心感心。
 余のすらりとした支柱に連なる伝承を聞きたいと申すか。」
「いや、すらりとした支柱はどうでもよくて。」
「うむ、だから余のすらりとした支柱に連なる伝承であろう。」
「だから運河の話だってば。」
「うむ、だから余のすらりとした支柱に関わりがある。」
「……は?」
「我が一族を代々辿れば、園芸用品に纏わる技を持つ者が多数いる。
 余の支柱や父の如雨露をはじめとし、球根花瓶、
 奥義中の奥義たる高枝切りバサミ……。」
「ろくな一族じゃねぇな。」
「その中に、とりわけ絶大な秘技を有した者が、過去に幾人か存在した。」
「絶大な秘技?」
「その技の名も『スペード・タクティクス』という。」
「みゅ、スペードって知ってるです。トランプの柄です。」
「否、スペードという言葉にはもう一つの意味がある。」
「いわゆるシャベルの事ですわね。」
「その通りでございます、グロリア令嬢。」
「へぇ、そんな意味あったんだ。」
「愚か者、むしろこちらの意味が
 本来由緒正しい姿なのだ。
 そしてその秘技は、今まで幾多の人類の危機を救ってきた。」
「……なんか話がトンデモない方向に飛んだなぁ。」
「『スペード・タクティクス』とは即ち、
 スペード(※シャベル)を用いて地形そのものを
 戦略上有利な造形に変化させてしまう素晴らしい技なのだ!!!」
「ほえー。」
「あほらし。」
「むっ、難癖を付けるつもりか!
 そのような愚かな発言はそちが二人目だ。
 よかろう、この手帳にメモして末代まで……。」
「って俺の前にも誰かに言われてるのかよ。」
「確かゲーゲンバウエル地図会社の社員、
 ラル……なんだったかな、アークなんとか?
 とにかく名前はよく覚えていないが、
 余の持ち技でもないのに、はた迷惑だと言われた記憶がある。」
「……まさかあの運河はお前の祖先が、
 そのスペードタクティクスとやらで
 造成したとでも言うつもりか。」
「その通り。我が一族に語られる由緒正しき伝承である。」
「…………わかった。
 仮にだ、100歩譲ってその話が本当だとしよう。
 ならば具体的にどこを掘った……いや掘らなかったのか分かるか?」
「む?妙な事を聞くな。」
「色々あって知りたいんだ。その話が事実ならば、だが。」
「ちょっと待っていろ、余よりも詳しい父上に尋ねてくる。」
「わかった、ここで待っていればいいのか?」
「うむ、しばし待たれよ。」

MOVE:
待機する
都市中心街

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