TITLE: 第13の機構 −闇夜に下る宰相命令− |
■ 大陸歴 599年 11月 24日 ブランドブレイ王国 |
首都ブランドブレイ
沿岸貿易街 |
|
大陸標準時 9:40 pm □ |
「居たっ!長官っ!!」 | |
「……流石は私が見込んだだけあって脚が早いな。」 | |
「長官、どういうことなんだ!? 第十三番目の機構っていうのは、 一体なんだったんだ!?」 | |
「その名の通り、数えて十三番目の組織という意味だよ。」 | |
「ステヴィン長官っ!それは答えになってない!」 | |
「ふっ、なるほど、この男が首謀者か。 どうやらこのラグランジュ家の若者よりも、 貴様を問いつめた方が早そうだな。」 | |
「! ……まさか、宰相エルネスト自らご登場とは。 計画の想定外だ。」 | |
「宰相エルネスト……?」 | |
たったったっ | |
「宰相閣下、判明致しましたぞ。」 | |
「! ……コペルニクス元騎士団長、貴方もか。」 | |
「この国には、ステヴィンという姓名を持つ人物は存在しませぬ。」 | |
「ふっ。どういうことだ?」 | |
「いえ、かつて存在していたというべきでしょうか。 本物のロジャー=ステヴィンは、10年前に死んでおります。 以降、ステヴィンの姓を持つ人物は、この国には在住しておりませぬ。」 | |
「ステヴィン長官――じゃあ、あんたは一体。」 | |
「…………。」 | |
「……しかし幸いなことに、 ステヴィンの死亡記録を最後に照会した人物の名前が 手続き書類に残されておりまして。」 | |
「調査が早いな。して、その名は。」 | |
「ジェイムス=エディソン。」 | |
「!」 | |
「なるほど、それが貴様の本名か。」 | |
「――これは盲点を突かれたようだ。 いや、私のミスというべきだろう。 情報請求の記録を抹消し損ねていたとは。」 | |
「教えてくれ、長官。一体これはどういうことなんだ。」 | |
「……地下遺構が必要なのだよ。 今ではない、いずれだ。 だが、そのために準備を整えておく必要がある。」 | |
「じゃあ、あの公園で発見された地下への入口は――。」 | |
「本来なら開かないはずのロックを解除したのは私だ。 そして収集したラファエル王国時代の教科書を、そこに隠匿したのもな。 ……ただ一つ、年端もいかぬ子供の遊び場にされたのは誤算だったが。」 | |
「――だから、リタを巻き込んだのか。」 | |
「その通りだ。 まさか子供の口を封じるわけにもいくまい。 ……おい、そう怖い顔をするな。今のは冗談だ。」 | |
「冗談には聞こえなかったが。」 | |
「ふっ、ラファエル王国時代の教科書といったな。 どこで入手したのかは知らぬが、 何故そのようなものを蒐集する?」 | |
「お前の手の内を知る為だ、宰相エルネスト。」 | |
「なんだと?」 |
読む |
【 話を続ける 】 |
イベント名『長官の正体は』
Copyright(c)1999-2007 Fubuki Kogarashi (木枯 吹雪)