TITLE: 第13の機構 −闇夜に下る宰相命令−

大陸歴 599 12 05 シルバニア王国
シルバニア王国
王都 城壁前
大陸標準時 6:00 pm

MESSAGE:
「ねこさん。本当に、ここでいいのですか?」
《ええ、ありがとう。》
「リタ、ねこさんのこときちんと飼えるですよ?
 ごはんもあげるです。ふかふかの毛布も用意するです。
 だから、リタのお家に来てほしいです。」
《優しいのね、あなたは。
 ありがとう。
 でもそれだと、今度はあなたに迷惑をかけることになるから。》
「リタがんばるです!ねこさん大事にするです!」
《ふふっ。そんな嬉しい事言わないでよ。
 色々と辛くなっちゃうじゃない。
 でも、決めたの。しばらく一人で生きるって。》
「ねこさん……。」
《あっ、そうね。猫なんだから一人じゃなくて一匹よね。
 ――もし、あなたが将来『お母さん』になって、
 その子供が独り立ちをして。》
「リタがママに、ですか?」
《ええ。歳月が過ぎ去って、
 その頃になってもまだ私の事を憶えていてくれたら、
 お言葉に甘えようかしら?》
「わかったです、リタ、絶対に忘れないです。
 おにーちゃんからもらったこのペンダントと一緒に、
 ずーっとずーっと忘れないです!」
《ありがとう。じゃ、そろそろ行くわね。
 この身体もそろそろ老体だから、次の器探さないと。
 今度は黒い猫のほうが、目立たなくて済むかしら。》
「ねこさん。会いたくなったらどこに行けばいいですか!」
《あたしは、あの真ん中にある大きな公園で暮らしてるわ。》

てってってっ

《貴方が、私の事を憶えていれば、だけど。》
「ねこさんっ!」

…………。

「ねこさん……。」

…………。

「…………。
 ……みゅ?
 あれ?」
「リタ、どうしてこんなところにいるですか?」

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