『真実の抹消者(前編)』
「……誰?誰かそこにいるの?」
「誰なの?一体こんな夜中に何の用?」
「……あーあ、見付かっちゃったか。」
「!? 女の子?」
「ま、自力で探すのに飽きてきたところだし、丁度いっか。
ねぇ、この家にレインエッジがあるでしょ?
どこにあるか教えてくれない?」
「貴方は、誰?」
「こんばんは、泥棒でっす☆」
「……やけに陽気でお喋りな泥棒さんね。」
「だって無口だと怖いでしょ?
それに女性に危害は加えたくないのよねー。
ほら、アタイも一応オンナノコだし?」
「それで、レインエッジと言いましたわね。」
「そ、この家のどこかにいるんでしょ?」
あ、しらばっくれても無駄よ?
ちゃんとその辺りの情報は揃ってるんだから。」
「……ふぅ。そうみたいですわね。」
「んで、どこ?」
「貴方が今腰掛けている、引き出しの中ですわ。」
「あっらー。
兄弟元暮らしとはこのことね。
……あれ、灯台もと暗し、だっけ?」
「あまり頭は良くなさそうですわね。」
「なんかいった?」
「いいえ、別に。」
「んー、布に包まれた木箱があるけど、これ?」
「……違う、と言った所で聞かないのでしょうね。」
「じゃあこれね。」