『真実の抹消者(前編)』
「わっ、すごーい。
話の通り、本当に刀身が透明なんだー。
へぇ、これがレインエッジなのねー。」
「一体、その剣をどうするおつもり?」
「うん?ちょっと拝借しようかなーって。当分の間は無期限で。」
「それは無学な人間が扱えるようなシロモノではありません。
なにより英雄が使っていたからといって、
必ずしも武器として優れているとは限りませんわ。」
「それに、その剣は父が暗殺された時に
いくらかのダメージを負っています。
実用に耐えるかは甚だ疑問ですわ。」
「んっ、いいのいいの。
別にお宝だから狙ったとかそういうわけじゃないから。
この剣が、えーと、かーぼんぶれいど、だっけ?」
「!!!」
「くぁんたむうぇぽん、がどうのこうので……。
えーと、とにかくその力が必要なんだってさー。
世界でたった残り二本の剣だし?」
「そこまで知っているのですね。貴方は一体何者です。」
「曲者よ。」
「……自分からそう名乗る方は初めて見ましたわ。」
「まったく変なひともいたもんねー。」
「貴方の話なのですが。」
「はぁ、はぁ……見つけたぞ、ジャンヌ!」
「……また侵入者ですの?」
「やっほー。ここしばらく姿見えないなーと思ってたら、
やっと追いついたのね。ご苦労様ー。
……肩で息してるけどダイジョウブ?」
「お前が逃げるからだろぉおおおおお!」
「あら、だってアタイ、追い駆けっこ全勝記録絶賛更新中だもん。」
「そんなもん更新すんなぁああああ!」
「と、用事はもう済んだんだっけ。
じゃ、次に行く所あるから。
またねー。」
「あ、おい、待てっ!」
「……あ、またドア壊しちゃった。
ごっめんねー。アタイ、力加減できなくてー☆
んじゃ、ありがとー☆」
「待てっ、ジャンヌ=グリフィス!」
「!?」
「賊め、何が目的かは知らんがシュレーディンガー家に立ち入ろうとは!」
「なっ?!」
「グロリア、無事か?」
「あら、お久しぶり。ええ、私は平気ですわ。」
「通報では女性という話だったが、まぁよい。引っ捕らえろ。」
「え、ちょっと待て、
それは今そこから逃げたジャンヌじゃないのか?
おい、だからちょっと話を聞いてくれ!おい!」