Forbidden Palace Library #J01 『真実の抹消者(前編)』

『真実の抹消者(前編)』


ブランドブレイ王国 王都
地下遺構


ごうん……ごうん……ごうん……。

ジェイムス 「……だが、だめか。
 エネルギー変換器が故障しているな。
 不完全な形でしかアルキメデス動力炉が稼働していない。」


たたたたたっ

ジャンヌ 「師匠ーっ。
 言われたモノ集めてきたよ!
 でも、結晶体のペンダントはここにはないみたい。」

ジェイムス 「そうか。あれは既に人手に渡った後だったか。ご苦労。」

ジャンヌ 「何、ここ。地下シェルター?」

ジェイムス 「大陸で唯一、稼働状態で維持されているアルキメデス動力炉だ。」

ジェイムス 「それ故に、ブランドブレイの王都はこんな辺鄙な土地に建てられた。
 ……これと同類の遺構はカイザリアの帝都の地下にもあってね。
 レイン皇帝陛下の即位後に、封印されてしまったが。」

ジャンヌ 「ふぅーん。でも不思議な感じ。
 なんだから身体が高揚するみたいな、
 ふわーっと浮きそうって言うか。」

ジェイムス 「アルキメデス動力炉の影響で、
 ここには地上よりも多くの魔力が集まっているんだ。
 高揚感はその証だ。」

ジェイムス 「この力場は、我々にとって力となる。
 そのために歳月を掛けて調べ尽くし、決戦の地としたのだ。」
 それで、地図は取ってきたか?」

ジャンヌ 「はい、これでしょ?」

ジェイムス 「ご苦労。どれどれ。
 ……なるほど、ここの回路を繋げばリンクするわけか。
 だが、こっちの結線はやはり損傷しているようだな……。」

ジャンヌ 「師匠、さっきから何やってんの?」

ジェイムス 「我々の力を最大限発揮するための舞台調整だ。
 予想以上に損傷が出ている――万全ではないが、
 現状で決戦を迎えるしかなさそうだ。」


たったったっ

アーノルド 「なんだ……この空間は!?」

ジャンヌ 「んっふっふー、やっと追いついたのね。遅かったじゃない。」

アーノルド 「ジャンヌ=グリフィス!!!」

ジェイムス 「なるほど。彼がお前を追っていたという、
 噂のカイザリアの隠密兵か。
 なかなか美男子ではないか。」

ジャンヌ 「や、やだっ。師匠なに言ってるんですかっもうっ!アタイは別に――。」

ジェイムス 「ほう。懐かしい顔も一人いるな。」

ラグランジュ 「……まさかここで、貴方にお会いするとは。」

ジェイムス 「私もだ。思っても見なかったよ。」

ラグランジュ 「ステヴィン長官っ!」

ジェイムス 「久しいな、ラグランジュ君。
 懐かしすぎてお祝いの言葉すら忘れていた。
 騎士団長に昇格したそうだね、おめでとう。」

ラグランジュ 「――第十三の機構が解体されてから、一体どこにおられたのです。」

ジェイムス 「はっはっは、馬鹿な事を言わないでくれ。
 第十三の機構は別に解体などされていない。
 君を含めてメンバーを全員入れ替えただけだ。」

ラグランジュ 「ステヴィン長官。貴方は一体……。
 いや、貴方だけではない!
 お前達は、何者なんだ!」

ジャンヌ 「曲者よ。」

ラグランジュ 「自称すんな。」

アーノルド 「そのぐらい見りゃわかるわぁぁぁぁあああ!」


▽……。



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