Forbidden Palace Library #J01 『真実の抹消者(前編)』

『真実の抹消者(前編)』


ブランドブレイ王国 王都
地下遺構

ジャンヌ 「えーと、もう一つの組織名としては、
 アルゲンタイン帝国、第十三特殊部隊
 ――ということになるんだっけ?」

ジェイムス 「もはや部隊と呼べるだけの人員も残っていないがな。」

アーノルド 「アルゲンタイン帝国!?
 おいおい、ちょっと待てよ。何寝ぼけた事言ってんだ!?
 そんな国はとっくに滅び、今はカイザリア帝国として……。」

ジェイムス 「寝ぼけているのはお前だ、カイザリアの隠密兵。
 お前も本来はわたしたちの指揮下に入るべき存在なのだ。
 ベルナルドの子孫であるならば尚のこと。」

アーノルド 「!?」

ジェイムス 「超法規的措置により、
 たった一つの部隊だけが旧名を引き継いだ。
 どこにも属さない部隊として、作戦行動を可能とするために。」

ジェイムス 「真実という名を冠した、作られた歴史を終わらせる。
 それこそが第十三特殊部隊に与えられた至上命令。
 450年の昔より引き継がれてきた唯一の目的。」

ラグランジュ 「その命令を下したのは一体誰だ?」

ジェイムス 「――レイン=バベッジ。」

アーノルド 「銀狼帝!?
 アルゲンタイン帝国を打ち倒し、
 カイザリア帝国を建国した初代皇帝が!?」

ジェイムス 「レイン皇帝陛下は既にこの世にいない。
 だが、その打倒エルネストという遺志は引き継がれた。
 それが我々、第十三特殊部隊。」

アーノルド 「ちょっと待ってくれ。
 だけどアルゲンタインは既に亡国だ。
 その活動資金は一体どこから――。」

ラグランジュ 「……なるほど、その資金繰りのために
 暗殺家業を繰り返してきたか。
 同時にそれは実戦の練習にもなるわけだ。」

ジェイムス 「許しを請おうなどとは思ってもいない。
 犠牲の為に殉じろなどと言うつもりもない。
 正義のためと言い訳をするつもりもない。」

ジャンヌ 「全ては――真実の名を冠した、宰相エルネスト抹消のため。」

エルネスト 「ほう、面白い。」

ジャンヌ 「!?」

エルネスト 「埋めたはずの坑道を、またも掘り返す者がいるとは。」


カツン……カツン……

エルネスト 「……ふっ。
 また厄介な連中が現れたと思い来てみれば、15年前の貴様か。
 しかし今回は随分と人数が多いな。」

ジェイムス 「――お出ましか、エルネスト。時は満ちた。」


▽……。



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-2007 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。