『真実の抹消者(前編)』
「……――俺は。
俺は、誇りあるブランドブレイの騎士団の一員だ。
そしてその騎士団の掟に従うなら。」
「従うなら?」
「最優先事項は、国家反逆者の追討になる。
ステヴィン長官――いえ、
ジェイムス=エディソン。」
「!」
「!!!」
「五月騎士団の名に於いて、
貴方を国家反逆罪並びに諜罪の廉で逮捕する。
抗う場合には、即刻処刑とする。」
「ふっ。なかなか賢い判断だ。それでいい、ラグランジュ。」
「ラグランジュ!3対2だぞ、ラグランジュ?!
「考え直せ。数の上でも勝ち目はないぞ。」
「……俺は、
騎士団の使命に従うだけだ。
それでも俺は、騎士なんだ。」
「どこまでも騎士の本分に忠実というわけか。
いいだろう。
お前に守るものがあるというのなら、仕方あるまい。」
「宰相エルネスト暗殺のために、
大陸中を駆け回りこの剣を探し出した。
かつて銀狼帝レインが使った、二本のレインエッジを。」
「ふっ。カーボンブレイドごときが地上最強だと思うな。」
「なんだと……?」
「最強の矛も、最強の盾も世の中には存在しない。
かつてアルゲンタインでその兵器の残存を知った後、
メルフィアに作らせた対抗武器がここにある。」
「先割れの剣……?」
「正確には呼称などないのだが、
いままでは音叉剣と呼ばれる事が多かった。
そしてもう一つの名は、共鳴崩壊剣。」
「なっ!?」