『真実の抹消者(前編)』
「これ以上、猶予は与えぬ。」
「なんだ、この衝撃は……っ!?」
「え、剣が挟まれたっ!?」
「引き抜け、ジャンヌ!」
「ふっ、遅いっ!」
「!?」
「なっ……!?」
「え、あれ、剣が――。」
「ち、ちょっとまて!!!一体何が起こったんだ!?」
「双軸の共鳴により炭素分子の結合を解除した。
柄だけ残した剣など、最早脅威ではない。
残りもう一本も、すぐに砕いてくれよう。」
「……師匠っ!」
「プラン2に変更だ。
我らは格闘術のみで行くしかないようだ。
アーノルド、剣を掲げろ。」
「え?」
「早くしろ!」
「お、おう。」
「ふっ。何をするつもりだ?」
「イ・シェキル・ハルウェイラ――」
「!?
待て、何故貴様がその魔導を知っている!?
とうの昔に消失したはずだぞ!」
「雷よ我が手より解き放たれん、サンダー!!!」
「剣が光り出した!?」
「……本当なら二本ともこの状態で戦いたかったのだが、やむを得ん。」
「ふっ。やっと全てが繋がったぞ。
この真価のために、失われた雷撃魔導を掘り起こしたか。
15年も前から、実に周到な準備だ。」
「いや。15年よりもっともっと長い歳月を掛けた。
だがそれも全て今日で終わる。
つぁッ!蹴りィッ!」
「早いっ!?」
「くっ、音叉剣が重くて避けるのに精一杯とは。
ラグランジュ!
この剣は貴様が使え!」
「え?」
「!?」
「その代わり、もう一本のカーボンブレイドは貴様が片づけろ。」
「――っ!?」