Forbidden Palace Library #J01 『真実の抹消者(前編)』

『真実の抹消者(前編)』


ブランドブレイ王国 王都
地下遺構

アーノルド 「うぉっ!?」

ラグランジュ 「何だ、いま何が起きた!?
 エルネストの周囲だけ重力が反転して――。
 それで、そのまま二人とも突き飛ばされて……。」

アーノルド 「一瞬、天井が地面になって、
 地面が天井に……うあっ!?
 なんだ、天井に穴が開いてるぞ!?」


ふらりっ

エルネスト 「……おのれ、よくもこの私に触れおったな……!」

アーノルド 「エディソンとジャンヌが……まさかあの穴の向こうに!?」

ラグランジュ 「いや、俺が目視した限りでは、
 空間ごと切り取られるように飛んでいったのは
 片方だけだった――たぶん、エディソンが。」

アーノルド 「じゃあ、ジャンヌは!?」

エルネスト 「ふっ。柱の下で蹲っている、あの塊の事か?」

ジャンヌ 「……くぁっ……。」

アーノルド 「ジャンヌ!!!」


だだだっ

エルネスト 「もっともこれほどの至近距離では、
 どの方向に重力が飛ぶか、予想しかねる部分もあったが。
 いや、至近距離だからこそ出来た技と言うべきか。」

ジャンヌ 「はぁ……はぁっ……。」

アーノルド 「ジャンヌ、しっかりしろ!」

エルネスト 「高重力で壁面に叩きつけられたのだ。
 骨格に相当なダメージを喰らっているはずだ。
 生きているだけでも運が良い。」

エルネスト 「例えどれだけ療養したところで、再び刃向かえるまでには回復するまい。
 いや、回復などさせぬ。
 ここで潰え――。」


ごごごごご

アーノルド 「何の音だ!?」

ラグランジュ 「天井に開いた穴から崩落が!地下全体が崩れだしたぞ!」

エルネスト 「……止めを刺している時間はない、か。
 しかし、二度と動けなくしておかねばなるまい。
 残りの僅かな余生を、絶望の内に生きるがよい。」

アーノルド 「やめろ!やめてくれ!」

エルネストシェヴィ・リ・ティエルス
 闇よ刃となりて降り注げ!
 シャドゥブレイド!!!


ヴゥゥゥゥンっ

ジャンヌ 「きゃあああああぁぁぁっ!」

アーノルド 「やめろぉおおおおおおおおっ!!!」


▽……。



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