Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
城壁地下取調室

ボイス 「――それで、そろそろ正直に吐いたらどうだ。」

ラグランジュ 「いや、だから俺は何もしていないってば!」

ボイス 「ならばなにゆえ、ブランドブレイの騎士団長殿が
 我らがシルバニア王国に居るのだ。
 外交ルートではそのような話は届いていない。」

ラグランジュ 「だ・か・ら、説明しただろ!
 正規の手続きを踏もうとする前に、
 あの男が国境線を越えたから、やむを得ず――。」

ボイス 「国境線からこの首都までは随分と距離がある。
 その途中からでも連絡なり手続きなりを
 寄越す事もできたのではないかね?」

ラグランジュ 「仕方ないだろ。ほぼ不眠不休でここまで追ってたんだから!」

ボイス 「いまいち説得力がないな。」

ラグランジュ 「……何で今回は俺がカツ丼側になってるんだ。」

ボイス 「本題に入ろう。
 いつ、どのようなルートでこの首都に入った。
 詳しく説明してもらおう。」

ラグランジュ 「ホワイトテイル市を発った後、
 ロンドンデイル市を経由してそのままシルバニアへ。
 さっきも説明した通りだ。」


コンコン

兵士 「副将軍、第5師団から伝令です。
 3日前、ブランドブレイの騎士団長殿が
 単身でロンドンデイル市を駆け抜けていったとの情報が届きました。」

ラグランジュ 「ほら、言っただろう?」

ボイス 「……ふむ。
 アリバイは出来たということか。
 あと一歩だったというに。」

ラグランジュ 「何があと一歩なんだよ。」

ボイス 「では本当に、
 西回りでこのシルバニアの王都へ来られたのであって、
 バレンタイン港は寄っていないのだな?」

ラグランジュ 「寄ってない。断じて。」

ボイス 「……ふむ。捜査は振り出しに戻ったか。」

ラグランジュ 「どういうことだ?バレンタインで何かあったのか?」

ボイス 「……どこから説明したものか。
 とりあえずお茶でも飲むかね。
 ああ、残念だがお茶請けのミルククッキーは出せないぞ。」

ラグランジュ 「なんでミルククッキー限定なんだよ。」

ボイス 「俺の趣味だ。」

ラグランジュ 「…………。」


▽……。



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