Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
住宅街


だだだだだっ

ラグランジュ (!!! 住宅の玄関口に誰かが倒れてる!)


だだだだだっ

ラグランジュ 「おい、しっかりしろ!」

アウグスト 「不覚を取った……っ。」

ラグランジュ 「大丈夫か!?」
(……流血が酷い。
 応急処置では間に合いそうにない、早く医者を呼ばないと!)

アウグスト 「娘が……。」

ラグランジュ 「娘?」

アウグスト 「わたしの娘が……さらわれた……。」

ラグランジュ 「さらわれた?誘拐ということか?」

アウグスト 「犯人はジェイムスと名乗り……ごふっ――ごはぁっ!」

ラグランジュ 「おい、大丈夫か!?
 ――王立軍!誰か、近くにいないのか!
 重傷者だ!早く医者を!」

アウグスト 「たの……む……。」

ラグランジュ 「ああ、いま大至急医者を呼んで――。」

アウグスト 「頼む……娘を、ユリアを……取り戻して……。」


カクンっ

ラグランジュ 「!!!」


…………。

ラグランジュ 「おい! しっかりしろ! おいっ!」


たったったっ

レオン 「何事かね!」

ラグランジュ 「……シルバニア王立軍か。
 悲鳴が聞こえたので駆けつけたら、
 この男が倒れてて、娘がどうのと――。」

レオン 「アウグスト君!」


…………。

レオン 「ダメだ、もう事切れている。」

ラグランジュ 「……知り合いだったのか?」

レオン 「同僚であり親友の息子だ。
 いや、王立軍の人事を知らぬ隣国人には、
 副将軍の息子と言った方が早いかもしれないな。」

ラグランジュ 「――お前は?」

レオン 「レオン。レオン=セルシウス、王立軍師団長だ。」


▽……。



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-2007 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。