『真実の抹消者(後編)』
「人命よりも、その魔導原本とやらの方が大事であると。」
「だとしたら、何だと言うのだね。」
「ウェルナー将軍。
俺は昔、貴方を尊敬していた。けれど――
部下思いだった貴方は、長い歳月の間に変わられてしまった。」
「……何が言いたい、ボイス?」
「幸い、今ここには我々しかいないということです。」
「……? ボイ――――。」
「……ス!!!」
「ウェルナー将軍、鍵を持つ貴方がいなくなれば、
全ては闇の中だ。
真実を抹消すれば、奴らは手がかりを失う。」
「ボイス……お主……っ!!!」
「ゴハァっ――。」
「我々が守るべきは伝説ではない、人命だ。」
「国民を守ろうとしない将軍など、王立軍には必要ない!」
「……これでいいんだ。
俺の運命は、あの日からずっと血塗られているのだ。
今更、光の道など歩くことは叶わぬ。」
「例え、心が叫び(ラウド)を呼び起こそうとも。」
「ふっ。これは予想外な。」
「!?」
「まさか将軍が、既に死んでいようとは。」