Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
繁華街展望台

ボイス 「誰だっ!?」

エルネスト 「ふっ。貴様に名乗る名などない。」

ユリア 「ここはどこなのっ、見えないよっ、怖いよっ!」

ボイス 「ユリア!!!」

ユリア 「え……おじいちゃんの声!?
 おじいちゃんそこにいるの!?
 助けて、おじいちゃんっ!」

エルネスト 「生憎、将軍の血族がこの都には不在でな。
 副将軍である貴様の血族を狙ったのだが、どうにもうるさくて適わん。
 ……目隠しだけでなく、猿ぐつわも用意すべきであったな。」

ユリア 「きゃーっ、いやーっ!」

エルネスト 「ええい、少しは大人しくせんかっ!」

ユリア 「びくっ。」

ボイス 「……それで、要求は何だ。」

エルネスト 「王城の隠し部屋の場所を教えよ。
 そこに魔導原本があるはずだ。
 アシスト家のウィリアムの隠した一枚が。」

ボイス 「ワシは知らぬ。
 知っていたのは生前のウェルナー将軍のみ。
 既に情報は失われた。」

エルネスト 「……ふっ。相伝する前に死んだか。
 仕方あるまい、別の方法を取ろう。
 ならば、マスターキーを渡せ。」

ボイス 「マスターキー?」

エルネスト 「そうだ、王城の見取り図が極小で刻まれた
 小さな透明の結晶体だ。
 恐らくペンダント状に加工されているものだ。」

ボイス 「そんなものは知らん。」

エルネスト 「知らぬなら公爵に聞いてこい。」

ボイス 「……オランジュラウン公は、一度寝たら起きないお方だ。」

エルネスト 「ふっ、ならば叩き起こせ。
 貴様の孫娘の命が大事ならば、な。
 こちらには人質がいることを忘れるな。」

ボイス 「ぐっ……!」

エルネスト 「これは脅しではない。
 その証拠に、貴様の息子――つまりこの小娘の親の命は
 もうこの世にない。」

ボイス 「……知っている。先程聞いた。」

エルネスト 「ほぅ。流石は軍隊組織だ、情報が早いな。
 それならば話も早い。2時間だ。
 2時間後にここでマスターキーを引き渡せ。」

ボイス 「!!!」

エルネスト 「さもなくば、この孫娘の命もないぞ。」


だっ

ボイス 「おい、待てっ!2時間だとっ!?そんな短時間で――。」

ユリア 「おじいちゃん、たすけてーっ!」

ボイス 「ユリアーっ!!」


たたたたたっ

ボイス 「……なんということだ。一体、俺はどうすればいいのだ。」


▽……。



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