Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
繁華街 マックスウェル邸兼ディラック商店

ラグランジュ 「ステヴィン長官――いや、ジェイムス=エディソン!!!」

ジェイムス 「ちょっとした同窓会といったところだな。
 だが余韻に浸っている時間はない。
 宰相との決戦にはそれが必要なのだ。」

マティルダ 「ちょっとちょっと、何なのよ一体!?」

ジェイムス 「繰り返す。ペンダントを渡して貰おう。」

ラグランジュ 「リタ。俺に渡すんだ。」

マルガリータ 「どっちもいやですっ!
 これは大事な、大事なものなんですっ!
 思い出せないけど、大切な大切な宝ものなんです!」

ジェイムス 「ならば仕方あるまい、力ずくで奪い取る。」


スゥッ

ラグランジュ 「……やってみろ。リタは俺が守る。」

マルガリータ 「え?」

ジェイムス 「知った顔であるが故、心は痛む。
 だが至上命題のためであれば、
 容赦はしない。」


ザッ

ラグランジュ 「!!!」

ジェイムス 「つぁっ!!!」


ひゅっ!

ラグランジュ 「!」

ジェイムス 「はっ!蹴りぃぃぃっ!!!」

ラグランジュ 「くっ――!」

マルガリータ 「――おにーちゃんっ!!!」

ラグランジュ 「リタっ!!!」


どしんっ

マルガリータ 「きゃっ!」

マティルダ 「リタちゃんっ!」


ぷちんっ

マルガリータ 「あっ!ペンダントがっ!」

ラグランジュ 「チェーンが千切れたっ!?」

マティルダ 「……だから修理中だって言ったのに。」

ジェイムス 「! 今だっ!」

マルガリータ 「あっ!」


ひょいっ

ジェイムス 「この結晶体は、頂いていく。」


だだだだだっ

ラグランジュ 「……くっ。
 リタ、大丈夫か?
 怪我はないか?」

マルガリータ 「おにーちゃん……。」

ラグランジュ 「!?」

マルガリータ 「ん。大丈夫です。ちょっと擦りむいただけです。」

ラグランジュ 「――リタ、思いだしたのか!?」

マルガリータ 「おにーちゃん……っ。
 ずっとずっと、顔も思い出せなくて、
 ずっとずっと、寂しかったです――!」

ラグランジュ 「リタ……っ!」

マルガリータ 「おにーちゃん。もう、どこにも行かないで。」

ラグランジュ 「ああ、分かった。
 だけど、もうちょっとだけ待ってろ。
 ペンダントの代わりも、またプレゼントしてやる。」

マルガリータ 「……指輪が、いいです。」

ラグランジュ 「え?」

マルガリータ 「おにーちゃんから、指輪が欲しいです。」

ラグランジュ 「お前、意味分かって言ってるのか?」

マルガリータ 「もちろんです。ずっとおにいちゃんと一緒にいたいんです!」

ラグランジュ 「分かった。約束は、必ず守る――!」

マティルダ 「……やっぱりロリコンじゃない。」

ラグランジュ 「違うっ……!」


▽……。



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