『真実の抹消者(後編)』
「ステヴィン長官――いや、ジェイムス=エディソン!!!」
「ちょっとした同窓会といったところだな。
だが余韻に浸っている時間はない。
宰相との決戦にはそれが必要なのだ。」
「ちょっとちょっと、何なのよ一体!?」
「繰り返す。ペンダントを渡して貰おう。」
「リタ。俺に渡すんだ。」
「どっちもいやですっ!
これは大事な、大事なものなんですっ!
思い出せないけど、大切な大切な宝ものなんです!」
「ならば仕方あるまい、力ずくで奪い取る。」
「……やってみろ。リタは俺が守る。」
「え?」
「知った顔であるが故、心は痛む。
だが至上命題のためであれば、
容赦はしない。」
「!!!」
「つぁっ!!!」
「!」
「はっ!蹴りぃぃぃっ!!!」
「くっ――!」
「――おにーちゃんっ!!!」
「リタっ!!!」
「きゃっ!」
「リタちゃんっ!」
「あっ!ペンダントがっ!」
「チェーンが千切れたっ!?」
「……だから修理中だって言ったのに。」
「! 今だっ!」
「あっ!」
「この結晶体は、頂いていく。」
「……くっ。
リタ、大丈夫か?
怪我はないか?」
「おにーちゃん……。」
「!?」
「ん。大丈夫です。ちょっと擦りむいただけです。」
「――リタ、思いだしたのか!?」
「おにーちゃん……っ。
ずっとずっと、顔も思い出せなくて、
ずっとずっと、寂しかったです――!」
「リタ……っ!」
「おにーちゃん。もう、どこにも行かないで。」
「ああ、分かった。
だけど、もうちょっとだけ待ってろ。
ペンダントの代わりも、またプレゼントしてやる。」
「……指輪が、いいです。」
「え?」
「おにーちゃんから、指輪が欲しいです。」
「お前、意味分かって言ってるのか?」
「もちろんです。ずっとおにいちゃんと一緒にいたいんです!」
「分かった。約束は、必ず守る――!」
「……やっぱりロリコンじゃない。」
「違うっ……!」