Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
繁華街展望台


ごーん ごーん ごーん ごーん ごーん ごーん

ごーん ごーん ごーん ごーん ごーん

ボイス 「……午後11時か。」

エルネスト 「ふっ、時間だ。約束のマスターキーは用意できたであろうな。」

ボイス 「!!!」

エルネスト 「どうした。マスターキーを渡せ。
 さもなくば、この貴様の孫娘を、
 その眼前で――。」


たったったたたっ

ジェイムス 「エルネストッ!」

エルネスト 「!」

ボイス 「!!!」

ジェイムス 「マスターキーはここにある!」

エルネスト 「……ほう、本物のジェイムス=エディソンが出て来たか。」

ボイス 「本物!?どういうことだ?」

ジェイムス 「ラントシュタイナー軍医を暗殺したのも、
 アウグスト=ハーシェルを暗殺したのも、
 私の名を騙るその男だ!」

エルネスト 「ふっ。
 5年前の私に対する弑逆未遂のささやかな復讐として、
 全ての責任を貴様に押しつけようと思っていたのだが。」

エルネスト 「その様子では、まだ諦めていないようだな。
 ――それで、貴様がマスターキーを
 有していると言ったな?」

ジェイムス 「そうだ。」

エルネスト 「予定とは違う人間が持ってきたようだが、
 結果が同一ならばそれで構わぬ。
 この見晴台からも識別できるように、証拠を掲げよ。」

ジェイムス 「これだ。」


キラン――。

エルネスト 「なるほど。
 宝石には劣り、ガラスよりは上回るその輝き。
 確かに本物のようだな。」

ボイス 「ユリアを、孫を解放しろっ!」

エルネスト 「ふっ。いいだろう、
 これ以上は人質がいても邪魔なだけだ。
 ほら、行け小娘。」

ユリア 「うわぁぁあああん、おじいちゃぁぁああん、
 ずっと目隠しで真っ暗で、
 怖かったよぅぅぅぅぅうぁぁぁん!」

ボイス 「いい子だ、ユリア。
 よくぞ頑張った。もう大丈夫だ。
 本当によく頑張ったな。」

ユリア 「暗いの怖いよぉ、
 もういやぁぁああうわぁぁぁん!
 えぐっ、えぐっ。」

ジェイムス 「――エルネスト、降りてこい!
 マスターキーは、私の左胸のポケットだ。
 欲しくば力づくで奪うがいい!」

エルネスト 「ふっ、面白い。まだこの私に楯突こうなどと考えるか。
 ディ・セクト・イル 我が着地を和らげよ。
 ランディング!


ヒュッ――――

すたっ


▽……。



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