Forbidden Palace Library #J02 『真実の抹消者(後編)』

『真実の抹消者(後編)』


シルバニア王国 王都
繁華街

エルネスト 「マスターキーを、渡すがいい。」

ジェイムス 「――――…………。」


すっ

エルネスト 「ふっ。
 紆余曲折を経たが、ようやくこの手に入った。
 これで、隠し部屋の位置が分かる。」

ラグランジュ 「――……どういうことだ。
 そのペンダントがマスターキーというのは、
 どういう意味なんだ。」

エルネスト 「ふっ。貴様には長いこと手足となり動いてもらった。
 褒美にひとつ、いいものを見せてやろう。
 近づくがよい。」

ラグランジュ 「???」

エルネスト 「この結晶体にライトの魔導を灯せば――」


ヴンッ

ラグランジュ 「なっ、立体映像!?」

エルネスト 「そうだ。王城の立体見取り図が浮かび上がる。
 これこそがマスターキーと呼ばれたもの。
 王城の設計図にして全ての扉を開く鍵。」

ラグランジュ 「……それが、ペンダントの正体か。」

エルネスト 「ふっ、この通り隠し部屋も一目瞭然というわけだ。
 これで後は魔導原本を入手するのみ。
 失われた7枚全てが揃う日も近い。」

ラグランジュ 「失われた、7枚……?」

ボイス 「だが、我々がそうたやすく王城に近づかせると思うか。」

ラグランジュ 「ボイス!」

エルネスト 「ほう。人質が戻ったことで威勢も取りもどしたか。」

ボイス 「ここから先へは一歩たりとも進ませぬ!
 我がシルバニア王立軍、
 全軍を以て絶対死守をなす!」

エルネスト 「ふっ。よかろう、今日の所は退くとしよう。」

レオン 「……え?」

エルネスト 「隠し部屋の在処は、知らないのであろう?
 ならば手掛かりに一番近いのは、
 マスターキーを入手したこの私というわけだ。」

ボイス 「!!!」

エルネスト 「焦る必要はあるまい。
 永い永い時を待ち続けたのだ。
 今更あと10年やそこらを待とうが変わらぬ。」

ボイス 「…………っ。」

エルネスト 「ああ、そうだった。忘れていた。
 ラグランジュ、ご苦労だったな。
 貴様はもう用済みだ。」

ラグランジュ 「……!?」

エルネスト 「何を身構えている?
 あのジェイムスという男が無力化した以上、
 役目は終わりだと言っているのだ。」

ラグランジュ 「……それが、最後の命令か。」

エルネスト 「ふっ。そういうことだ。
 後は貴様の好きにするがいい。
 さらばだ。はーっはっは!」


たったったっ

ラグランジュ 「…………。」

ジェイムス 「…………。」


▽……。



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