「あ、エリーゼ師団長。」
「あら?さっきの。
どこかで見たことあると思ったら、
あなた確か将軍の新しい秘書だったわね。」
「あ、はい、そうです。」
「一応知っているとは思うけど、
私は第6軍師団長エリーゼ=ラントシュタイナー。
エリーゼでいいわ。よろしくね。」
「あ、こちらこそ……。
ってあれ、アシスト師団長?
虫取り網持ってそんなところで何やってるんですか?」
「あ、馬鹿っ!
黙ってろよ、もう少しでエリーゼを
捕獲できるところだったのに。」
「…………。
アシスト師団長、
どうやら貴方とは一度本気で話し合わなければいけないようね。」
「はっはっは、やだなぁ、エリーゼ君。怒ると顔のしわが増えるぞ。」
「余計なお世話ですっ!」
「おっと、ちょっと用事を思いだした。さらばだ!」
「あ、あの、アシスト師団長、聞きたいことが……。」
「……また逃げたわね。」
「あー、そうだ。
エリーゼ師団長にもお尋ねしたいことが有るんですけど、
少しよろしいでしょうか?」
「ええ、いいわよ。なに?」
「今日の午前10時頃、貴方はどこで何をしていましたか?」
「午前10時頃?
……えっと、確か
城壁の上から街を監視していたはずよ。」
「城壁ですか?」
「ええ。市街をぐるっと囲むあの白い城壁よ。
どうしたの?
突然そんな事聞いて?」
(うーん、言っちゃっていいんだろうか。
まぁ言うなとは命令されてないし。
ま、いいか。)
「実は……。」
5分後。
「ふぅん。なるほどね。
……貴方も大変ねぇ。
手伝って上げたいのはやまやまなんだけど、まだ仕事があるのよ。」
「いや、そんな気を使って頂かなくても……。」
「そうそう、私のアリバイについて確認を取りたければ、
城壁に行けばきっと兵士の誰かが証言してくれるわ。
じゃあ私、ちょっと急ぐから。」
「あ、はい、どうもありがとうございます。」
(いい人だなぁ……。)
(今のところ出会ったのは…… エリーゼ師団長、 アシスト師団長、 の二人か……。 今のところは二人ともアリバイなし、と。 でもエリーゼ師団長に関してのアリバイは城壁に行けば確認出来るらしい。 これでまだ会っていない師団長は残り4人か。) |