Forbidden Palace Library #02 前例なき犯罪


王都シルバニア
中央公園

銀の星々を蒔いた夜の空が、果てなくどこまでも続いている。その下を冷たい風が駆け抜ける。
普段はこの公園によくいる猫達も、どこか暖かい場所へ寝床を求めにいったようだ。

次の夜明けが訪れるまで、噴水は吹き上げを止め静かに眠っている。


「……もしかしたら、日の出と水が関係あるのって……。」

アシスト 「……ああ。
 たぶんこの噴水だな。
 というわけで秘書、ちょっと見てこい。」

「……え?
 えー?私がですか?
 だって水冷たいじゃないですか……。」

アシスト 「……おお、そうか。
 よし、なら準備運動してからでもいいぞ。
 そのぐらいの時間はあるだろう。」

「……結局、私が行くんですね。分かりました、いいです、やります……。」

アシスト 「いやー、ものわかりの良い秘書で助かるなぁ。」


じゃぶじゃぶ……


アシスト 「どうだ?それらしいものはあったか?」

「んーと、こっちは特に異常はないし、こっちも……あ!
 噴水の射出口に、試験管っぽいものがはまっているみたいです!
 これ、垂直に抜けば平気ですかねぇ?」

アシスト 「あ、少しでも揺らすと爆発……。」

「ええっ!?」

アシスト 「なんてことはないから安心しろ。
 ……ん?
 どうした?そんな呆けた顔して?」

「……いえ、別にいつものことだからいいです、もう。
 よいしょ、ぐいっと……あれ?
 中に油っぽい液体と、白っぽい欠片みたいなものが入ってますよ?」

アシスト 「なるほど。朝になって噴水が動き出した時、
 試験管ごとが吹っ飛んでナトリウムが池の中に……ってわけか。
 …………なかなかいいな、これは使えるアイディアだ。」

「はい?
 あのー、アシスト師団長?
 今、何かとても危険なこと言いませんでした?」

アシスト 「いやいや、なんでもない。
 さて、無事危険物は回収したし。
 撤収するか。」

「そうですね……クシュンッ!」

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