Forbidden Palace Library #02 前例なき犯罪


王都シルバニア
城壁

東の空から夜が迫り、蒼穹を紺碧へと塗り替えていく。その闇に続くように、星々がぽつりぽつりと降り始める。
冬の空が澄み渡っているためだろうか、その輝きがやけに目映い。

けれど、星明かりでは街を照らすことは出来ない。そのため夜になると、街の各所に魔導の明かりが灯されていく。
この城壁とて、その例外ではない。


「あのー、高枝切りバサミの事じゃなくてちょっと違うことでお伺いしたいんですけど……」

兵士 「なぁ、それより俺様が今考えていたことを聞いてくれ。」

「はい?」

兵士 「『隣の客はよく柿食う客だ』っていう早口言葉あるよな?」

「ええ。それが何か?」

兵士 「『客』と『柿』を間違えたら大変なことになると思わないか?」

「隣の柿はよく客食う……ってそれ無茶苦茶怖いですよ。」

兵士 「……さすがの俺様も想像したら怖くなってな。
 よし。
 というわけで俺様は寝る。」

「ね、寝てどうするんですか!警備はいいんですか?警備は?」

兵士 「貴様に任せる。」

「だから任せられても困りますってば!
 ってああっ!そんなところで寝ないで下さいっ!
 お願いだから高枝切りバサミに頬ずりをしながら寝るのはやめてください!」

兵士 「で、高枝切りバサミの仕組みか?俺様に聞きたいってのは?」

「いえ、そうではなくて……。
 えーとですね……
 ここ最近ゴミ箱とか覗いてる怪しい人物を見ていませんか?」

兵士 「ゴミ箱?
 ああ、そういえば青い鎧を着た奴が、ゴミ箱を弄り回していた気もするな。
 でだな、聞いて驚け、この高枝切りバサミの仕組みというのが……。」

「青い鎧ですか……。
 どうもご協力感謝します。
 では失礼。」

兵士 「おーい、無視するなぁ!」

▽中央公園へ行く
▽このまま城壁にいる
▽住宅街へ行く



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