「だ、誰が行かず後家ですかっ!
私はまだ23歳ですっ!
アシスト師団長の方が年上で独身でしょっ!」
「なんなら俺が嫁に貰ってやろうか?」
「…………え?」
「何赤くなってんだよ。
お前、結構純情なんだな。いいことだ。
はっはっは。」
「蹴・りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
げしぃぃぃっ
「い、いつもより痛てぇ……。」
「こ、今度そんな冗談言ったら許さないわよっ!」
(エリーゼ師団長、いつもと剣幕が違う……怖いよぉ……。)
「あ、ユリア師団長。」
(ウィルバーちゃん?
ああ、ウィルバー=ロウクス=アシスト師団長のことか。)
「ユ、ユリア師団長っ!」
「ううん☆ なぁんでもなあいっ☆
秘書ちゃん、あんまり邪魔しちゃだめよ☆ 馬に蹴られるわよぉ☆
頑張ってねぇ、エリーゼちゃん☆」
「へ、変なこと言わない下さいっ!」
「きゃー、怖い怖い☆
さてと。あたし夕飯の買い物してから帰るから☆
じゃねー☆」
「……まったくもう!」
「……本当にさわがしい奴だな、ユリアは。
それで、これからどうするか。
闇雲に歩き回った所で犯人など見付かるわけもなく。」
「……そうねぇ、こういうのはどうかしら?
三人で同じ場所を調べて廻るよりも、ばらばらに行動した方が効率がいいはずよ。
私が繁華街を調べて、アシスト師団長が裏路地を重点的に調べる、というのはどう?」
「私は?」
「もちろんそれ以外の所を見回るのよ。」
「……非常にわかりやすい答えですね。」
「もし犯人が見つかったら……そうねぇ。
魔導の明かりを空に打ち上げるということで。
秘書さん、そのぐらいの魔導なら、使えるわよね?」
「ええ、まぁ初等学校で一番最初に習った魔導ですし。」
「よし、それで決定だな。
張り切って犯人みつけるぞっ!
……まてよ、犯人をでっち上げて簡単に解決するという手も……。」
「アシスト師団長、今何か言ったかしら?」
「ああ、いや、なんでもない。
とりかく張り切って犯人を捜さなくてはな。
俺の給料がかかっていることだしな。」
「……アシスト師団長。
ひょっとして師団長としての責任感とかじゃなくて、
ただ単に減給を帳消しにする為だけに調査をしようとしてません?」
「はっはっは、あたりまえじゃん。
実験費用も色々と馬鹿にならないからな。
ん?どうした?二人ともため息ついて?」
「自分の胸に聞いて下さいっ!
……まあいいわ。
じゃあ私はここを重点的に探すから二人とも他をお願いね。」
「了解!」
「はーい。」