
 「あのー」
「あのー」
 「いらっしゃいませ。
「いらっしゃいませ。
 あら?
 この間の……。」
 「あのですね、またちょっとお伺いしたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」
「あのですね、またちょっとお伺いしたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」
 
 「はい?なんでしょうか?」
「はい?なんでしょうか?」
(はぁ……これがレナード師団長だったらいのに……。
 いえ、いけないわ。今は仕事中よ。そんな事考えちゃ駄目よ、アリス。) 「変な人、見ませんでした?」
「変な人、見ませんでした?」
 
 「…………はい?」
「…………はい?」
(な、なぁに!?
 も、もしかして、それって私の事!?いえ、そんなはずないわっ!) 「いえ、ですから変な人」
「いえ、ですから変な人」
 
 「…………えーと」
「…………えーと」
(そうよ、私がすごい妄想癖を持った変な女の子だってことは誰にも内緒のはずよ。
 ええ、これは誰にも知られていないはずよ……でも……もし知られていたら……。) 「たぶん目が二つで鼻が一つ、そして口が一つ付いていると思うんですけど……」
「たぶん目が二つで鼻が一つ、そして口が一つ付いていると思うんですけど……」
 
 「…………。」
「…………。」
(ああっ!もし知られていたらどうしましょう……。
 きっとみんな私のことを白い目で見るわっ!いえ、そうに決まっているのよっ!) 「あと耳が二つほどついているかなぁと。」
「あと耳が二つほどついているかなぁと。」
 
 「…………。」
「…………。」
(きっとレナード師団長まで……やめてっ!お願いっ!そんな目で見ないでっ!
 貴方にだけはそんな目で見られたくはないのっ!)
五分経過。
 「たぶん指の数は20本だと思うんですよ。あ、もちろん手足両方の指を数えてですよ。」
「たぶん指の数は20本だと思うんですよ。あ、もちろん手足両方の指を数えてですよ。」
 
 「…………。」
「…………。」
(そう、子供は二人。男の子と女の子一人ずつがいいわ。
 ああっ、でもその為には……いや、そんな。恥ずかしいわ……。) 「……っていう感じの変な人なんですけど、見ませんでした?」
「……っていう感じの変な人なんですけど、見ませんでした?」
 
更に五分経過。
 「…………。」
「…………。」
(ああっ!駄目よあなたっ!
 お願い……子供が起きちゃうわ…………あぁっ!) 「……あのー、話、聞いてます?」
「……あのー、話、聞いてます?」
 「はっ!?あ、ご、ごめんなさい、ちょっと考え事していたもので……」
「はっ!?あ、ご、ごめんなさい、ちょっと考え事していたもので……」
 「……ずいぶん長い考え事ですね。
「……ずいぶん長い考え事ですね。
 で。
 変な人、見ませんでした?」
 「さぁ……特に見ませんでしたけど……。」
「さぁ……特に見ませんでしたけど……。」
 
 
 「そうですか。
「そうですか。
 ご協力どうも。」
(急に黙ったかと思えば突然首振ったりして……面白い人だなぁ……) (ふう……私の妄想癖、ばれていないようね……よかった。)
(ふう……私の妄想癖、ばれていないようね……よかった。)
▽城壁へ行く
▽住宅街へ行く