Forbidden Palace Library #02 前例なき犯罪


王都シルバニア
住宅街

住宅街の名を冠しているとはいえ、店舗がまったくないわけではない。
もっとも、趣味で経営されている骨董品屋や、細々と経営されているパン屋など、いずれもこぢんまりとしたお店ばかりではあるが。
通りの向こうからなにやら香ばしい匂いが漂ってくる。


「あ、ベル師団長、どうでした?何か手がかりは?」

ベル 「聞いてくれっ!骨董品屋でついに見つけたんだっ!」

「……なんですか、その本?」

ベル 「聞いて驚けっ!かの大魔導師エルネストが記したという魔導書だっ!」

「ええっ!?
 あの……ラファエル王国初代宰相だったっていう……
 大魔導師エルネストの……ですか?」

ベル 「そう。タイトルはずばり『三日で分かる禁呪』。」

「……なんか嘘臭いですね。」

ベル 「……そうか、お前もそう思うか。
 俺も買ってからそう思ったんだ。
 あうー、俺の1000リルを返せぇぇぇ」

「せ、1000リルもしたんですか?その本?」

ベル 「あうー、失敗したぁぁぁ」

「日本円に換算して約5万円ってところですね。」

ベル 「誰に向かって説明してるんだ、おい?」

「いえ、別に。」

ベル 「ああ、せっかくこれで禁呪でもおぼえてアシストの奴を見返してやろうとしたのに……」

「だいたいベル師団長は魔導をどのぐらい使えるんですか?」

ベル 「義務教育で習った程度ならばっちしさっ!」

(その程度の魔導知識で禁呪なんかをおぼえようっていうのが無理なんじゃ……。)

ベル 「くうううう、またしても戦わずして破れるとは……グリフィス=ベル一生の不覚!」

「で、怪しい人はみつかりました?」

ベル 「…………。
 ぽん。
 ああ、いやぁ、すっかり忘れてたよ。」

「…………。」

ベル 「そんな白い目で見ないでくれないかなあ? ね☆」

「……だからウィンクはやめてくださいってば。」

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▽城壁へ行く
▽パン屋さんへ行く



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