Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


王都シルバニア
中央公園

大きく枝を伸ばした広葉樹は寒さに耐えきれなかったのか、どれも葉を落としている。
冷たい風を浴びて、梢がわずかに揺れている。

朝には水が凍るこの季節、水道管の破裂を防ぐために噴水もその活動を止める。
池の氷もあと少し厚みを増せば、子供達にとって絶好のスケート場へと姿を変えることになるだろう。


(あれ?ベル師団長とアシスト師団長、それにエリーゼ師団長……。)

エリーゼ 「……ベル師団長。
 どういうことなんですか?
 はっきりと説明してもらいましょうか。」

ベル 「ししし、知らんぞ俺は。
 決して君たち二人を罠にはめて一晩を一緒に過ごさせようとか、
 その現場をのぞき見ようとかなんてことは決してっ!」

アシスト 「……ほぉ。なかなか面白いな。それで?」

ベル 「はっ!
 この俺を誘導尋問にかけるとは……。
 お主ら、なかなかやるな。」

アシスト 「ベル。君には選択する権利がある。
 1、このまま何も喋らずに一晩中そこの工事現場に落ちている
 2、全て洗いざらい喋り無事に城に帰る。さぁ?どっちだ?」

ベル 「全て話しますぅぅぅぅぅ。
 実は………………………………………
 …………………ということなんですぅぅぅう。」

エリーゼ 「なるほどね……。
 よくわかったわ。
 つまり、私たち以外の全員が企んでいたのね。」

アシスト 「エリーゼ、何顔を赤くしているんだ?」

エリーゼ 「う、うるさいわねっ!」

アシスト 「さてと、ベル。確か君は3番の
 『全て洗いざらい喋りその後一晩中そこの工事現場に落ちている』
 を選んだんだったな?」

ベル 「ちょっとまておい、なぜそうなる。」

アシスト 「おい、ベル、お前の後ろのその大きな穴、何か知ってるか?」

ベル 「ここって確か今度出来る公園の管理事務所の予定地だろ?
 まぁ地下室か何か作るために穴掘ってあるんだろうけど……。
 それがどうかしたのか?」

アシスト 「深いよな?」

ベル 「ああ。深いな。
 ……なぁ、アシスト。
 お前の言いたいことがよく分からないんだが?」

アシスト 「……エリーゼ。」

エリーゼ 「わかってる。……蹴りぃぃぃぃぃっ!」


げしっ!


どさっ。


ベル 「あうー、こーゆーことかぁっ!
 なんで工事現場に落とすんだぁっ!引き上げてくれぇぇぇっ!
 っていうか引き上げてくれないかなぁ?ね、お願い☆」

アシスト 「……さてと。
 残りの奴らも当然このままじゃすまないよな。
 ……お返しは3倍返しが基本だよな?」

エリーゼ 「ええ。もちろんよ。」

ベル 「あうー、引き上げてくれぇぇえっ!」

(まずい……早くお城に戻ってこのこと伝えなきゃ。)


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