Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


王都シルバニア
城壁

シルバニアの都市を守る城壁は、時折『白き守護者』と呼ばれることがある。
この都に住む人々は、この城壁こそが大陸で最も堅固であると信じて疑わない。
もっとも、実際に戦火を浴びたことは有史上まだ一度もなく、真偽の程は定かではないが。


「……やっぱり夜になると冷え込みますねぇ。」

アシスト 「ああ、そうだな……。早いところ残りの二人を見つけないとな。」

「あ、ユリア師団長。」

ユリア 「あ、あらぁ☆
 ウィルバーちゃん、元気ぃ☆
 ……あっれぇ?エリーゼちゃんは?」

「レナード師団長に説教だそうです。」

アシスト 「……ふむ。そうか。
 エリーゼがいない今、思う存分魔導を行使できるな……。
 ってことは禁呪魔導も……。」

「ア、アシスト師団長?目がマジですよ……。」

ユリア 「う、ウィルバーちゃん?
 悪い冗談はやめてよぉ☆
 ……ね、ねぇ?もちろん冗談よねぇ?」

アシスト 「はっはっは。
 …………。
 イ・キルティ・リ・キルティ 鋭利なる氷柱よ我が各々の手に……」

ユリア 「きゃーーーーーーっ!」

「あ、逃げた。」

アシスト 「……鋭利なる氷柱よ我が各々の手に具現せよ……」

「アシスト師団長、もうユリア師団長逃げちゃいましたよ?」

アシスト 「……具現せよ……ツインアイスィクルッ!」



サクッサクッ!


「うわわわわわわわっ!」

アシスト 「ふむ……。
 やはりまだ精度に問題があるか……。
 もう少し練習せねばいかんな。」

「……って何で私に向かって魔導を放つんですかぁぁっ!?」

アシスト 「いや、そのまま詠唱中止するのもったいないぐらいの完成度だったから……。
 まぁいいじゃん。あたらなかったし。
 …………ちっ。」

「『ちっ』って……ひょっとして本気で当てようとしてたんですかぁっ!?」

アシスト 「無論。」

「もし私が怪我でもしたらどうするんですかぁ!」

アシスト 「安心しろ、秘書。お前が怪我しても俺は無事だから。」

「………………。」


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