Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


王都シルバニア
繁華街

街灯には魔導の明かりが灯され、綺麗に敷き詰められた白い石畳を照らし上げている。
だが空を照らすには力不足なのだろうか、視線を上へとずらしていくと街灯の明かりが灰色の雲の重圧に精一杯耐えているかのように見える。

寒さから逃げようとしてか、多くの人々は早足で歩いている。


「アシスト師団長は確かセリフォス島の出身でしたよね?」

アシスト 「ああ。代々ずっとセリフォスに住んでいたらしい。
 もともと600年ほど前のラファエル王国崩壊の時に
 幻都シャロンから逃げてきたって話だけどな。」

「幻都シャロンっ!?
 って……かつて大陸全土を支配していたって言うラファエル王国の
 幻の都のことですよね?」

アシスト 「ああ。本当かどうかはわからないがな。
 幻都シャロン自体、実際に存在したかどうかも未だに分かっていないしな。
 なんにしろ遺跡すら見つかっていない幻の都なんだからな。」

アシスト 「もっとも、遺跡なんてものはここ数百年ひとつも発見されていないらしいけどな。
 ま、古くからの言い伝えによれば別の大陸にはたくさん古代遺跡が残っている
 らしいが誰も確かめた奴はいない。この大陸から出ることは不可能だしな。」

「へぇ……。」

アシスト 「……話がそれちまったな。ついでに言えば、これも嘘臭いんだが、
 一族の家系はラファエル王国で代々、王の補佐の役にあたっていたらしい。
 だからアシストという姓がついたんだって話だ。」

「もしそれが本当だとすれば……。」

アシスト 「ま、嘘だろうけどな。
 どうせ祖先の誰かがでっち上げたんだろ。
 ……そんな話は後回しだ。とっととアークとユリアを探すぞ。」

「あ、はい。」


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