Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


王都シルバニア
繁華街

街灯には魔導の明かりが灯され、綺麗に敷き詰められた白い石畳を照らし上げている。
だが空を照らすには力不足なのだろうか、視線を上へとずらしていくと街灯の明かりが灰色の雲の重圧に精一杯耐えているかのように見える。

夜になると風はますますその冷たさを増す。
だが、繁華街から人々がいなくなることはない。冷えた体を温めようと酒場へ歩みを進める人々が買い物客と入れ替わりに繁華街を訪れるからだ。


「あのー、ひょっとしてアークライト師団長の一族ってみんな方向音痴なんですか?」

エリーゼ 「さぁ……アークライト師団長の出身地ってどこだったかしら?」

アシスト 「アーク自身はシルバニア生まれのはずだが、
 確か祖先が北方のケチュア自治領から来たとか聞いた記憶がある。
 だからあいつの発音には少々訛りが残っているんだとさ。」

「え?ケチュア自治領って……確か普通の地図には載っていない場所ですよね?」

アシスト 「ああ。この大陸で人類の住める限界の地だ。呪いによりかの地より北に人は住めない。」

「呪いって、一体どんな呪いなんでしょうねぇ。」

アシスト 「少なくとも分かっていることは、魔導とは全く次元を異にする呪いだという事だけだ。」

エリーゼ 「……アシスト師団長、どうして貴方そんなこと知っているの?」

アシスト 「昔、聞いたんだ。ある大魔導師に。」

「……アシスト師団長って結構過去に謎が多いですよね。」


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