「……おい、何処に行った?」
「いや、私に言われても……。
……あ。そういえば前にユリア師団長が言ってたんですけど、
アークライト師団長が迷わずに行ける場所が一カ所だけありますよ。」
「え?」
「確かアークライト師団長自身の家には迷わずにたどり着けるとか……。」
「そういえばそうだったわね。でも、まさか家に帰っているなんてことは……。」
「いや。
可能性的にあり得ない話ではないだろう。
……不可能でないのなら試す価値はある。ってな。」
「どうしたんですか?アシスト師団長がそんな格好いい台詞を言うなんて。」
「……実はこれ、本当は俺の台詞じゃないんだ。
むかし一緒に戦った魔導師のお師匠様とやらがよく使っていたらしい。
もともとはそのお師匠様の親しい友人か誰かの口癖だったらしいんだけどな。」
「なんかややこしいですね。」
「ああ。
ただ、なんとなくこの台詞が気に入ってな。
……俺は幾度となくこの言葉に助けられたよ。」
「ところで話を戻しますけど、アークライト師団長の家ってどこにあるんですか?」
「……さぁ?エリーゼ、知ってるか?」
「いえ、私も……。」
「あ。
ユリア師団長なら知っているはずですよね。
一応恋人なんですし。」
「そうね。とりあえずユリア師団長に聞きにいってみましょう。」
「ユリアの奴、どこにいると思う?」
「さぁ?この時間ならもう家にいるんじゃないですか?」
「確かあいつの家は……城壁の側だったな……。」