Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


王都シルバニア
繁華街

街灯には魔導の明かりが灯され、綺麗に敷き詰められた白い石畳を照らし上げている。
だが空を照らすには力不足なのだろうか、視線を上へとずらしていくと街灯の明かりが灰色の雲の重圧に精一杯耐えているかのように見える。

夜になると風はますますその冷たさを増す。
だが、繁華街から人々がいなくなることはない。冷えた体を温めようと酒場へ歩みを進める人々が買い物客と入れ替わりに繁華街を訪れるからだ。


エリーゼ 「いないわねぇ。何処に行ったのかしら?」

アシスト 「……おい、何処に行った?」

「いや、私に言われても……。
 ……あ。そういえば前にユリア師団長が言ってたんですけど、
 アークライト師団長が迷わずに行ける場所が一カ所だけありますよ。」

エリーゼ 「え?」

「確かアークライト師団長自身の家には迷わずにたどり着けるとか……。」

エリーゼ 「そういえばそうだったわね。でも、まさか家に帰っているなんてことは……。」

アシスト 「いや。
 可能性的にあり得ない話ではないだろう。
 ……不可能でないのなら試す価値はある。ってな。」

「どうしたんですか?アシスト師団長がそんな格好いい台詞を言うなんて。」

アシスト 「……実はこれ、本当は俺の台詞じゃないんだ。
 むかし一緒に戦った魔導師のお師匠様とやらがよく使っていたらしい。
 もともとはそのお師匠様の親しい友人か誰かの口癖だったらしいんだけどな。」

「なんかややこしいですね。」

アシスト 「ああ。
 ただ、なんとなくこの台詞が気に入ってな。
 ……俺は幾度となくこの言葉に助けられたよ。」

「ところで話を戻しますけど、アークライト師団長の家ってどこにあるんですか?」

アシスト 「……さぁ?エリーゼ、知ってるか?」

エリーゼ 「いえ、私も……。」

「あ。
 ユリア師団長なら知っているはずですよね。
 一応恋人なんですし。」

エリーゼ 「そうね。とりあえずユリア師団長に聞きにいってみましょう。」

アシスト 「ユリアの奴、どこにいると思う?」

「さぁ?この時間ならもう家にいるんじゃないですか?」

アシスト 「確かあいつの家は……城壁の側だったな……。」


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▽城壁へ行く
▽住宅街へ行く



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