Forbidden Palace Library #03 花束を彼女に


翌日。

王都シルバニア
王城3階 廊下



エリーゼ 「あら。
 秘書さん、おはよう。
 貴方もこれから作戦会議室?」

「あ、エリーゼ師団長。ええ、そうです。」

エリーゼ 「といってもまだ予定の時間まで30分もあるわね。
 どうせまだ誰もいないでしょうけど……。
 ……先にゆっくりお茶でも飲んでましょう。」


こんこん。


エリーゼ 「エリーゼ=ラントシュタイナー、入ります。
 …………え?私が5番目?
 いつも会議室に入るのは私が1番最初なのに……。」

「……あれ?
 …………。
 ……目の錯覚、でしょうか?」

アーク 「うん?どうしたんだい?
 なにか面白いことでもあったのかい?
 よければ僕にも教えてくれないかなぁ?」

「ベル師団長やユリア師団長やレナード副将軍が早くここにいるのは納得できますよ。
 でも、どうして?
 どうして、アークライト師団長がここにいるんですか?」

ユリア 「あたしが昨日からずっとアークをここで監視してたの☆」

アーク 「そうそう。
 ジュリアさんったらひどいんだよ。
 どこにも行かないようにって鍵までかけて、作戦を練ろうって……。」

ユリア 「アーク!しーーーーっ!」

(ジュリア?
 ああ、ユリア師団長の事か。
 ……アークライト師団長って時々発音が訛るんだなよぁ。)

エリーゼ 「あら、綺麗な白い花……。」

「そういえばこの殺風景な部屋に珍しいですね。
 ガラスの花瓶というのも洒落てますし。
 ……どなたが持ってこられたんですか?」

ユリア 「へへぇ、あたしあたし☆
 一昨日アークに貰ったのぉ☆いいでしょお☆
 でねでね、せっかくだからみんなに見せようと思って☆」


こんこん。


アシスト 「ウィルバー=ロウクス=アシストだ。入るぞ。
 ……ん?
 ちょっとまて、アーク、何故おまえがここにいる?」

「私と同じ事聞いてる……。」

ユリア 「ねぇねぇ、ウィルバーちゃん、この花綺麗だと思わない?」

アシスト 「ん?ああ。それがどうした?」

ユリア 「エリーゼちゃんも欲しいんだって☆
 ウィルバーちゃん、プレゼントしてあげたら?
 喜ぶわよぉ☆」

エリーゼ 「ち、ちょっとユリア師団長!私はそんなこと一言も……っ!
 …………。
 そりゃあ、ねぇ。………欲しいけど……。」

ユリア 「ん?何?エリーゼちゃん?最後の方がよく聞こえなかったんだけど?」

エリーゼ 「いえ、なんでもないです。」

レナード 「……さて。
 全員揃ったところで会議を始めるとするか。
 今日の会議の内容はただ一つ。……ユリア師団長。」

(あ、ボイス将軍いないからレナード副将軍がその代理なんだ。)

ユリア 「んーとね、最近町で発生している謎の街灯破壊魔の事なんだけど……。」

エリーゼ 「街灯破壊魔?」

アシスト 「発生してるのか?聞いたことないぞ?」

「……ひょっとしてまたマルス前師団長ですか?」

ユリア 「ううん。
 違う違う。
 なんでも銀色の外套を身に纏って昼間でも人目をはばかることなく……」

アシスト 「ちょっとまて。なんでマルスの奴じゃないって断言できるんだ?」

ユリア 「…………え、ま、まぁそれだけは確実なのよ☆うん☆
 でねでね、その銀色外套男を秘密裏に捕まえて欲しいの。
 できれば師団長クラスの人間だけで☆」

エリーゼ 「質問です、ユリア師団長。
 その程度の事で有ればわざわざ秘密裏などにしないで一般の兵士に
 調査させた方が早いと思うのですが……」

ユリア 「え、えーと。
 それがね、その銀色外套男ってのが……えーと……。
 とにかく秘密裏なのよ。」

アシスト 「で、秘書にまた一任すると。」

「ち、ちょっとまてくださいよぉぉぉぉっ!」

レナード 「いや、今回は違う。」

「……え?」

レナード 「エリーゼ=ラトシュタイナー、ウィルバー=アシスト。
 以上二名にこの調査を命令する。
 副将軍命令だ。」

アシスト 「……なんだか納得がいかねえなぁ……。」

レナード 「ボイス将軍がいない今、実質的には将軍命令であることを忘れるな。」

エリーゼ 「…………わかりました。では早速調査に行って参ります。」

レナード 「よし。」

アシスト 「ぶつぶつぶつ……なんで俺がこんなことばかり……。」


ばたん。


▽……。



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