「はぁ、はぁ……やった、やっとお城に着きました!」
「うん、そっかー。
ところで、大喜びで飛び跳ねてるけど、
何か嬉しいことでもあったのかい?」
「左様か左様か。」
「え、あれ、艱難辛苦を乗り越えて喜んでるのって私だけ?」
「左様か左様か。」
「…………。」
「うん。どうしたんだい、頭抱えて?」
「……なんでもないです。」
(さてと……これからが本番、か。
この1階の玄関から3階の謁見室まで、この二人を見失わずに運ぶ。
……考えれば考えるほど、無理難題に思えてきた……。)
「ぬかよろこび。」
「はい?」
「うん。今なんとなく、
そんな言葉が頭に浮かんだんだ。
じゃあ僕はこれで。」
「き、急に変なこと言わないでくださいよっ!
とにかくはぐれないうちに作戦会議室まで急ぎましょう、
……ってあれ?アークライト師団長?」
「廊下の奥へ行かれたご様子。」
「ええっ!?言ってる傍から迷子っ!?」