
「アークライト師団長っ!
 どこにいるんですかー!?
 いたら返事してくださいよぉっ!?」
「……アークライト殿の方向音痴は遺伝だというから仕方なかろう。」
「え?アレって遺伝なんですか?」
「そうらしいでござるよ、うむうむ。
 なんでもアークライト殿の祖父殿も若かりし頃に生まれ故郷で遭難し、
 未だに実家に帰れずシルバニアに留まっているという話でござる。」
「う、生まれ故郷で遭難って……。」
「なんでもそれを聞いたアークライト殿の母親殿が、
 息子にニノ轍だけは踏ませまいとして幼少時から
 自宅にだけは帰れるよう必死に特訓したという話でござる。」
「アークライト家って一体……。
 って半ば呆れて感心してる場合じゃなかった、
 今は本人を探さないとっ!」
「左様か左様か。」