「あっ!」
「やあ。」
「やあ、じゃないですよ。
ですから勝手にうろうろしないで、
ちゃんとついて来てくださいってば!」
「なんだか遠足の引率で困ってる先生みたいな口調だねぇ。」
「誰のせいだと思っているんですか?」
「うーん、誰だろう?」
「アークライト師団長、ひょっとして本気で悩んでます?」
「うん。もちろん僕はいつだって本気だよ。」
「……グラン駐在大使、一つお願いしたいことがあるのですが。」
「なんでござる?」
「私とグラン駐在大使でそれぞれ左右から、
アークライト師団長の両脇を挟みこむような形で
階段を上っていただけます?」
「承知。確かにその手なら
はぐれる事も遭難に巻き込まれる事もないでござろう。
名案でござるな。」
「うん。でもコレなんだか連行されているみたいだなぁ。」
「……誰の為だと思っているんですか?」
「うーん、誰だろう?」
「…………。」