「てくてくてく……あ、グラン君みっけ。」
「えっ!?どこにいますっ?」
「おや、アークライト殿。お久しぶりでござるな。」
「うん。さっき会ったばかりだけど。」
「…………。」
「グラン=ハミルトン駐在大使、カイザリアより遠路はるばるご苦労様です。
私はシルバニア王立軍第6軍師団長エリーゼ=ラントシュタイナー。
以後よろしくお願いいたします。」
「左様か左様か。こちらこそよろしく頼むでござるよ。」
「うん。しかしどうして中央公園なんかにいたんだい?」
「誰のせいだと思っているんです、アークライト師団長っ!?」
「うん。誰だろう?」
「…………。」
「どうしたの? 二人して僕の事睨んで?
にらめっこは僕弱いんだよねー。
でも鬼ごっこなら負けないぞ。えっへん。」
「……いえ、少しでも察して貰おうとした私が間違っていました。」
「して、拙者はこれから何処へ行けばよいのでござるか?」
「本日、午後7時より王城3階謁見室にて
女王陛下ならびに各師団長達との懇親を兼ねた食事会をご予定しております。
このまま王城へお越しいただけますでしょうか?」
「左様か左様か。」
「……避暑君、真面目。」
「秘書ですってば。」
「……じゃあ私はレナード師団長を引き連れてからお城へ戻るわね。
秘書さん、先にアークライト師団長と一緒に、
グラン駐在大使をご案内して差し上げてくださる?」
「はい、分かりました!
……あ、それと、アークライト師団長。
出来ることでしたら私の前を歩いていただけません?」
「うん。どうしてだい?」
「後ろから着いてきていると思ったら、いつのまにか行方不明というのは困りますから。」
「うん。確かに。」
「……自分で即答してむなしくないですか?」
「うん。全然。」
「…………。」
「じゃあ秘書さん、任せたわね。」
「はいっ!」