Forbidden Palace Library #04 彷徨いし来客


王都シルバニア
中央公園前

夏は若々しい緑に覆われるこの公園も、冬となれば白亜に染まる。
ここシルバニアは高緯度に位置しているため、多量の雪が降るのである。

日暮れ時になったからだろう、もう子供達の遊び声は聞こえない。


アークライト 「てくてくてく……あ、グラン君みっけ。」

「えっ!?どこにいますっ?」

グラン 「おや、アークライト殿。お久しぶりでござるな。」

アークライト 「うん。さっき会ったばかりだけど。」

「…………。」

エリーゼ 「グラン=ハミルトン駐在大使、カイザリアより遠路はるばるご苦労様です。
 私はシルバニア王立軍第6軍師団長エリーゼ=ラントシュタイナー。
 以後よろしくお願いいたします。」

グラン 「左様か左様か。こちらこそよろしく頼むでござるよ。」

アークライト 「うん。しかしどうして中央公園なんかにいたんだい?」

「誰のせいだと思っているんです、アークライト師団長っ!?」

アークライト 「うん。誰だろう?」

エリーゼ 「…………。」

アークライト 「どうしたの? 二人して僕の事睨んで?
 にらめっこは僕弱いんだよねー。
 でも鬼ごっこなら負けないぞ。えっへん。」

「……いえ、少しでも察して貰おうとした私が間違っていました。」

グラン 「して、拙者はこれから何処へ行けばよいのでござるか?」

「本日、午後7時より王城3階謁見室にて
 女王陛下ならびに各師団長達との懇親を兼ねた食事会をご予定しております。
 このまま王城へお越しいただけますでしょうか?」

グラン 「左様か左様か。」

アークライト 「……避暑君、真面目。」

「秘書ですってば。」

エリーゼ 「……じゃあ私はレナード師団長を引き連れてからお城へ戻るわね。
 秘書さん、先にアークライト師団長と一緒に、
 グラン駐在大使をご案内して差し上げてくださる?」

「はい、分かりました!
 ……あ、それと、アークライト師団長。
 出来ることでしたら私の前を歩いていただけません?」

アークライト 「うん。どうしてだい?」

「後ろから着いてきていると思ったら、いつのまにか行方不明というのは困りますから。」

アークライト 「うん。確かに。」

「……自分で即答してむなしくないですか?」

アークライト 「うん。全然。」

「…………。」

エリーゼ 「じゃあ秘書さん、任せたわね。」

「はいっ!」


▽王城へ行く



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1998 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。