「はぁ……はぁ……」
「おや、君はいつぞやの……どうしたそんなに息を切らせて?
そうかそうか、俺様のこの華麗なる高枝切りバサミについての説明を、
一刻も早く聞きたくて走ってきたというわけだな。」
「違いますっ!
……ってどうしてあなたがネフライト門にいるんです?
普段はフェルディナント門にいるはずでは?」
「カイザリアから駐在大使が来ると聞いて、
俺様がこの華麗なる高枝切りバサミについて説明してやるために
わざわざ足を運んでやったのだ。」
「それで、その駐在大使はどこに?」
「俺様がこの華麗なる高枝切りバサミについての説明をする前に
アークライト師団長の奴が連れていってしまった。
せっかくここまで足を運んだというのに……」
「!」
(遅かったっ!)
「で、どっちの方に行きました?」
「あっちの方だ。」
「あっちって……どっちですか?」
「そっちの方だ。」
「そっちの方って……」
「こっちの方だ。」
「……聞いた私が馬鹿でした。」
「わざわざ俺様が華麗なる高枝切りバサミについて説明してやろうと、
前日から準備をしてきたのをアークライト師団長め……。
そうだな、せっかくだから貴様に説明してやろう。」
「それどころじゃないんですっ!」
「……ノートを取りに行くとは感心な奴だ。筆記用具を忘れぬようにな!」