Forbidden Palace Library #04 彷徨いし来客


王都シルバニア
城壁 北門前

町中から集められた雪の山に冬の低い日差しが反射して、白銀の城壁はいつもより目映く輝いて見える。
その煌めきの中に、ひときわ異質な光があった。
城壁が反射する光を、やわらかく鈍い光とするならば、そのもう一つの光は異様なまでの冷たさを持った鋭い光といったところか。
その玲瓏たる輝きは、城壁の前に佇む兵士の持つ武器から発せられていた……。


「はぁ……はぁ……」

コペルニクス 「おや、君はいつぞやの……どうしたそんなに息を切らせて?
 そうかそうか、俺様のこの華麗なる高枝切りバサミについての説明を、
 一刻も早く聞きたくて走ってきたというわけだな。」

「違いますっ!
 ……ってどうしてあなたがネフライト門にいるんです?
 普段はフェルディナント門にいるはずでは?」

コペルニクス 「カイザリアから駐在大使が来ると聞いて、
 俺様がこの華麗なる高枝切りバサミについて説明してやるために
 わざわざ足を運んでやったのだ。」

「それで、その駐在大使はどこに?」

コペルニクス 「俺様がこの華麗なる高枝切りバサミについての説明をする前に
 アークライト師団長の奴が連れていってしまった。
 せっかくここまで足を運んだというのに……」

「!」
(遅かったっ!)
「で、どっちの方に行きました?」

コペルニクス 「あっちの方だ。」

「あっちって……どっちですか?」

コペルニクス 「そっちの方だ。」

「そっちの方って……」

コペルニクス 「こっちの方だ。」

「……聞いた私が馬鹿でした。」

コペルニクス 「わざわざ俺様が華麗なる高枝切りバサミについて説明してやろうと、
 前日から準備をしてきたのをアークライト師団長め……。
 そうだな、せっかくだから貴様に説明してやろう。」

「それどころじゃないんですっ!」

たったった……

コペルニクス 「……ノートを取りに行くとは感心な奴だ。筆記用具を忘れぬようにな!」


▽とりあえず北門から離れる



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