Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
城壁

日は西の空へと沈んだらしく、昼間は灰色だった雲も今は闇色に染まっている。
だが白い雪だけは相変わらず何事もなかったかのようにマイペースにしんしんと降り続けている。
もしかするとこの雪は、シルバニアでは今年最後の雪かもしれない。
やがて冬が明け春の息吹がそよ風と共に訪れる。そしてそれに続く夏の青い空が訪れた頃、南半球に位置するこの大陸は一年を刻み終えることになる。


「ベル師団長っ!ああっ、倒れてるっ!」

ベル 「……秘書……か……」

「だ、大丈夫ですかぁぁぁっ!?鎧、すすけてますよぉ!?」

ベル 「ああ……。
 マルスの持ってた爆発物で……いてててて。
 ……グリフィス=ベル、一生の不覚っ!くぅっ!」


どんっ!

ベル 「…………」

「……地面に拳打ち付けて、痛くないですか?」

ベル 「痛い。泣くほど。あうううう」

(じゃあやらなきゃいいのに……)
「あれ?
 じゃあ書類は……マルス前師団長の手に?」

ベル 「ちっ!何故ばれたっ!?お主、なかなかやるな!」

(でも何故マルス師団長が……あっ!
 そういえばということはアシスト師団、お城でこんな事言ってたような……
 『……ここはマルスの奴に応援を頼んで……』)

(まずいっ!!!それだけはっ!!!
 い、急いで追いかけなきゃっ!!!)
「というわけでベル師団長、お先に失礼しますっ!」

ベル 「なぁ、やっぱりその書類取り返した後、俺に譲る気はない?ね☆」


たったった

ベル 「ちょっとまておいっ、無視かいっ!」



▽中央公園へ行く
▽繁華街へ行く
▽住宅街へ行く



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1998 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。