Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
繁華街

空にどんよりと浮かぶ憂鬱色の雲からは、雪がしんしんと降り続いている。
その暗さ故に、町の街灯は昼間だというのに灯されたままである。

雪が道路に積もっているせいもあるのだろう。
いつもに比べ人通りは少ない。


ベル 「あ、いたいた、おーい、グランっ!」

グラン 「おお、グリフィス殿。して、如何なるご用で?」

ベル 「いや、何、ちょっと俺の手伝いをする気はないか?」

グラン 「左様か左様か。
 だが、せっかくではあるが拙者、
 炊事洗濯はあまり得意では……」

ベル 「誰が家事手伝えって言ったよ?
 いや、そーじゃなくてさ、
 ちょっと捜し物を手伝って欲しいんだ。」

グラン 「左様か左様か。
 そういえば遙か昔、カイザリアに名探偵がいたという話が……。
 いや、カイザリアが出来る前だったでござるかな……はて。」

ベル 「だからそうじゃねぇぇぇぇぇぇっ!」

グラン 「左様か左様か。して如何なるご用で?」

ベル 「いや、何、ちょっと俺の手伝いをする気はないか?」

グラン 「左様か左様か。
 だが、せっかくではあるが拙者、
 炊事洗濯はあまり得意では……」

ベル 「無限ループに入るなぁぁぁぁぁっ!!!」

グラン 「左様か左様か。」

ベル 「ぜーはーぜーはー。
 いいか、上質の紙で(中略)と書かれた書類を探してくれ。
 もし他の師団長が持ってたら実力行使も可。」

グラン 「しかし、拙者が何故?」

ベル 「堅いこと言うなって。従兄弟だろ?な☆」

グラン 「左様か左様か。」

ベル 「……本当にわかったのか?」

グラン 「無論。『かっこ・ちゅうりゃく・かっことじ』、と書かれた書類を探せばいいのだな?」

ベル 「そうじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

グラン 「承知。副将軍任命書を探せばいいのだな?」

ベル 「分かってるんなら最初から言えぇぇぇぇぇぇぇっ!」

グラン 「……グリフィス殿、何を怒っているのかは知らぬが、怒ると体によくないと思う……」

ベル 「おのれのせいだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

(……あの人たちが見つける前にこっちが見つけなきゃ……)



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