Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
住宅街

いつも昼間はにぎやかな住宅街だが、雪が降っているせいもあり人通りは少ない。
住宅街といえども少なからず店舗が軒を連ねている。
だが、来客がほとんどないことに諦めを覚えてか、早々と営業を終了にしている店もある。

パン屋ソフトブレッド。
木彫りの看板のぶら下がったそのお店の中から、人の話し声が聞こえてくる。



からんからん


ユリア 「レナードちゃんいるぅ?」

アリス 「あ、ユリア師団長。いらっしゃいませ。」

レナード 「……ユリアか。俺に何か用か?」

ユリア 「ねえねぇ、レナードちゃん、人質って言葉知ってる?」

レナード 「それがどうした?」

ユリア 「アリスちゃん、ちょっとちょっと☆こっち来て☆」

アリス 「あ、はい?」


ぎゅっ

アリス 「え?」

ユリア 「というわけでアリスちゃん、しばらくの間人質になってね☆」

レナード 「どういうつもりだ?」

ユリア 「ううん、レナードちゃんにも秘書ちゃん探し手伝って貰おうと思ってぇ☆」

レナード 「秘書を?……待て、ユリア。それ以前にアリスさんをどうする気だ?」

ユリア 「んー、アリスちゃん可愛いからあたしが貰っちゃおうかなー☆」

アリス (ええっ!?)

レナード 「……そういうそういう趣味あったのか、ユリア?」

ユリア 「やーねー、もう、冗談じゃない☆なに本気になってるのよ☆」


からんからん

ユリア 「あ、秘書ちゃんみっけー☆」

「……あのー、ユリア師団長、アリスさん抱きしめて一体何を……?」

ユリア 「あのねあのね、秘書ちゃんから書類奪う作戦にレナードちゃんにも参加して貰おうと
 アリスちゃを人質にとったんだけど、その必要なくなったみたいー☆
 というわけで秘書ちゃん、書類☆」

「っていえ、あの、詰め寄られても……じゃ、私はこれでっ!」


からんからん

ユリア 「駆け足で私に勝てると思うの?」

「うわっ!早いっ!」

ユリア 「はい、というわけで書類っ☆」

「そ、それが……落としてしまって……」

ユリア 「え?落としたの?本当に?」

「ええ……」

ユリア 「じゃあ見つければ私のもの……秘書ちゃん、まったねー☆」


たったった……

「……って私も探さなきゃっ!」


たったった……

レナード 「……今のは一体何だったのだ?」

アリス (そんな……ユリア師団長……そういう趣味があったのかしら……?)



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