(『君が欲しいんだ、アリス。俺とつきあってくれ』なんて言われたら……
い、いえ、そんなわけないわ。つきあってくれだなんて……
そう、きっとフェンシングの事なのよ。レナード師団長、突剣の使い手ですもの……)
「あの、おねぇちゃん……」
「おや、デニス君、お帰り。」
(『でも私、レイピアやエストックなんて持ったことないです……』
『いや、これから覚えればいいんだ。手取り足取り教えて上げよう』
『レナード師団長の手……暖かい……』『君への愛があるからさ。』『あっ!』)
「あ、レナードおにぃちゃんが来てるーっ!わーいっ!」
「どうした?びしょぬれじゃないか。早く着替えないと風邪引くぞ。」
「うん。でも、あのね、その前に一つおねぇちゃんに聞きたいことがあるんだ……」
「アリスさん、デニス君が……アリスさん?」
「あ、は、はいっ!?
あら、デニスお帰り……何やっていたのよ、びしょぬれじゃないっ!
ほら、早く着替えてっ!んもうお風呂にも入れなきゃ……」
「ふむ……アリスさん、よければ私がお風呂湧かそうか?」
「あ、じゃあお願いします……ごめんなさい、レナードさん。」
「いやいや、気にするな。
えっと……ここが風呂場か。水は張ってあるようだな。
リ・メレル・エルウィ 集いし水滴よ熱を持て ウォーム!」
「ふむ……いい湯加減だ。」
(……ひょっとしてレナード師団長のお風呂湧かそうか、って……
それは私に一緒に入らないかって言っているのかしら……
だ、だめよ、そんな、まだ早いわっ!それにデニスだって見てる……)
「デニス君、お風呂湧いたぞ。」
(『いや、お風呂では私の心は温まらない。だから俺の心は君が暖めてくれ。』
『そんな……恥ずかしい……だめよ……そんなの……』
『アリス、君の一番美しい姿が見たいんだ……』『あっ……』)
「わーい、ありがとう!
……ねぇ、やっぱりレナードおにぃちゃん、
僕の本当のおにぃちゃんになってよ!」
「な、なにを言うのっ!」
「だっておねぇちゃんこの間
レナードおにぃちゃんに本当のおにぃちゃんになってもらうには
きせいじじつを作ればいいって……」
「……デニス、ちょっといらっしゃい。」
「うえーん、何が悪いのかよくわかんないけどごめんなさいぃぃぃっ!
ところできせいじじつってなにやっぱりキンモクセイとかツツジの仲間なのかなぁ
えーんやっぱり僕レタス畑で生まれたのかもしれないよぉえーん」
(……何か凄いことになっていそうな気がする……入るのはやめておこう。)