「……みつけたぞ、アシスト。」
「アークっ!方向音痴のお前が何故追ってこれるっ!?」
「だってここってアークライト師団長の家の側じゃ……」
「……ちっ!俺としたことが迂闊だったっ!」
「アシスト、そこを動くな…………はっ!」
「…………!」
「槍を……アシスト師団長の額と紙一重の所で止めてる……。」
「いいかアシスト。以後、ジュリアさんを泣かせるような事があれば……」
「わ、わかった、俺が悪かったっ!ほれ、紙はやるっ!」
「よし。まあいいだろう。……紙?うん、なんだい、これは?」
「ロウクス君っ!話はユリア師団長から聞いたわよっ!」
「げっ、エリーゼ!」
「……たっぷりお説教させて貰うわ。ちょっといらっしゃい。」
「痛ててててっ!耳を引っ張るなっ!ちぎれたらどうするっ!」
「だったら立ってちゃんと歩きなさいっ!」
「……エリーゼ。」
「な、何よ、急に真剣な顔しちゃって。」
「この間手を握った時みたいに優しく……」
「……け、蹴りぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
「……凄い音しましたけど……大丈夫ですか?
あれ?
エリーゼ師団長、顔赤いですよ?」
「な、なんでもないわよっ!」
「きゅう」
「も、もうっ!
変な事言わないでよっ、ロウクス君っ!
ちょっといらっしゃいっ!」
「……襟捕まれて引きずられてる……」
「ねぇ、寄書君。ところでなんだい、この紙は?」
(あ、いつものアークライト師団長に戻ってる。)
「そういえばアークライト師団長、先ほどの会議は最後の方しかいませんでしたものね。
実はですね、今度レナード副将軍が将軍に昇格……」
「うん?何々?貴方の名前?
書けばいいのかな?
えーと、ケイン=アークライト、と。すらすらすら。」
「したことにより副将軍の席が……ってええっ!?
ち、ちょっとっ!
アークライト師団長っ!何やっているんですかっ!?」
「え?僕のサイン。
……はい。出来た。
綺麗でしょ?結構字には自信が有るんだ。」
「…………嘘、でしょ?」
「さぁ?
そう言われても僕にはさっぱり。
ところでこの紙、何のアンケート?」
「……アンケートじゃなくて副将軍任命書なんですけど……」
「そうだったのか。
ということは、僕が副将軍になっちゃったってことかい?
うん。それは大変な事だ。」
「……ええっ!?ち、ちょっと待ってくださいよぉぉぉっ!」