Forbidden Palace Library #06 揺れるその瞳


王都シルバニア
王城1F 別館

王城本館の西に位置する建物、別館。
本館には入りきらなかった各省庁の執務室が主にこの建物内に集められている。

廊下の向こうから、どこかで見た顔が近づいてくる。


「あれ?グラン駐在大使」

グラン 「おお、これは秘書どの。元気そうでなにより。」

「……ところでグラン駐在大使、その手に持っているのは何ですか?」

グラン 「これかこれか。知恵の輪。面白くて面白くて。」

「……グラン駐在大使、絡まった糸とかほどくの好きでしょ?」

グラン 「如何にも如何にも。しかしどうしてその事を?」

「いえ、なんとなく……。
 知恵の輪やりながら歩いても別にいいですけど、
 とにかく前に気をつけてくださいね。」

グラン 「左様か左様か。ならばこれにて御免。」


ごんっ

グラン 「……痛かりしこと、このうえなかりけり。」

「気をつけて下さいねって、今言ったばかりじゃないですか……」



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