Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
王城本館 屋上

白い城の中で唯一といえる色違いの場所、屋上。
設計者に言わせれば、黒い屋根こそが城の白さを強調するのだと。

森の彼方が白みはじめたその夜明け前、屋根の上には3人の人影があった。


レナード 「残念だな、アシスト。
 屋上に出てしまった以上、もう逃げることは出来まい。
 観念してその手紙を渡してもらおう。」

アシスト 「……レナード、
 俺がせっかく手に入れたお前のラブレターを
 はいそうですかと返すと思うか?」

「その台詞って考えようによっては、
 レナード将軍がアシスト師団長に渡したラブレターの返却を
 迫っているみたいにも聞こえますよね。」

レナード 「……秘書。気色の悪いことを言うな。
 私は男性になど興味ない。
 今はアリスさんについて興味があるだけだ。」

「もう少し仕事の方にも興味持ってくださると嬉しいんですけど……。」

レナード 「こほん。
 それはともかくアシスト。
 こんなところに逃げてどうするというのだ?」

「そうですよ、城の屋根の上からどうやって降りるんです?」

アシスト 「逃げる手段などいくらでもあるさ。たとえばこんな風にな。」

「?」

アシストイ・セイラ・シェレネ
 風の翼、空の羽根、いざ我らにつき従え。
 エアーフライト!」


ふわっ……しゅんっ!


「あっ!飛んで逃げるなんてっ!ずるいっ!」

レナード 「その手があったかっ!
 奴の魔導知識を考慮していなかったっ!!!
 ……まずいっ!早く階段を下りるぞっ!」


だだだだだっ


「ああっ!ち、ちょっと待ってくださいよぉぉぉっ!!!」



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