「残念だな、アシスト。
屋上に出てしまった以上、もう逃げることは出来まい。
観念してその手紙を渡してもらおう。」
「……レナード、
俺がせっかく手に入れたお前のラブレターを
はいそうですかと返すと思うか?」
「その台詞って考えようによっては、
レナード将軍がアシスト師団長に渡したラブレターの返却を
迫っているみたいにも聞こえますよね。」
「……秘書。気色の悪いことを言うな。
私は男性になど興味ない。
今はアリスさんについて興味があるだけだ。」
「もう少し仕事の方にも興味持ってくださると嬉しいんですけど……。」
「こほん。
それはともかくアシスト。
こんなところに逃げてどうするというのだ?」
「そうですよ、城の屋根の上からどうやって降りるんです?」
「逃げる手段などいくらでもあるさ。たとえばこんな風にな。」
「?」
「イ・セイラ・シェレネ
風の翼、空の羽根、いざ我らにつき従え。
エアーフライト!」
「あっ!飛んで逃げるなんてっ!ずるいっ!」
「その手があったかっ!
奴の魔導知識を考慮していなかったっ!!!
……まずいっ!早く階段を下りるぞっ!」
「ああっ!ち、ちょっと待ってくださいよぉぉぉっ!!!」
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