「…………?
どこかで見たような女性……ってええっ!?
レミィ女王陛下っ!?」
「あら、秘書さん。こんばんは。」
「あ、こんばんは。
……ってそうじゃなくて、
陛下、こんな夜中に何やっているんですか?」
「夜のお散歩。
気持ちいいわよ、人々が寝静まった町を歩き回るのって。
うふふふふふふ。」
「……レ、レミィ陛下? あの、その含み笑いは一体……。」
「だって夜だから何やっても人目の心配がないでしょ?
ほら、十字路に寝転がってみたり、街路樹にのぼってみたり。
うふふふふふふ。」
「……なんか昼間と人格違いません、レミィ陛下?」
「そうかしら?
それよりも夜ってなんてこんなに素敵なんでしょう。
うふふふふふふ。」
「まさか、まさかとは思いますが、
その夜更かしが原因で
昼間いつも寝ているとかいうことはありませんね?」
「はなまるぅあげちゃう、秘書さん。」
「ええっ?!ほ、本当にそれが原因なんですかっ!?
って、ち、ちょっと待ってくださいよっ!
人の手にペンで何を描こうとしてるんです、陛下?」
「はなまるぅ。」
「いえ、はなまるぅ、ではなくて……。」
「ああ、手に描かれるのがいやなのですね。」
「ええ、まぁそういうことです。」
「ではほっぺたに描いて差し上げましょうか?
可愛いはなまるぅ。
なんとなくやわらかそうなほっぺなんですもの。」
「いえ、もっと遠慮しておきます。」
(……どうして。
どうしてこの国にはまともな人が一人もいないんだろう。
先が思いやられる……はふぅ。)
■