「ここがエリーゼの家だ。」
「あれ?二階の窓に人影が……。」
「……エリーゼ?起きているのか、こんな時間に?」
「!」
「……ロウクス君にレナード将軍、それに秘書さん……!?
こんな時間に一体何してるの?
流石に怪しまれるわよ?」
「……それって、誉められているのか?」
「誰も誉めてませんっ!なんでそうなるのよ?」
「いや、なんとなく今の一言が嬉しくて。」
「怪しまれることを嬉しがるアシスト師団長って一体……。」
「それで、一体なにがあったの?」
「いえ、実は……。」
五分後。
「確かにロウクス君の後、私が作戦会議室に入ったわよ。
午後5時半頃だったかしら?書類が散乱していたからそれを整理整頓して、
その後約束の時間になったから……」
「約束の時間?」
「何の約束だ?」
「その……ロウクス君と一緒に夕食を……。」
「要するにデートしてたんですね。」
「整理整頓の時に、白い封筒は見なかったか?」
「白い封筒?ええ、あったわよ。
書類と一緒に落ちていたからまとめて机の上に置いた記憶があるけど……。
宛名が『A』と書いてあった封筒よね?確か。」
「A?」
「……迂闊だったな。封筒にイニシャルを書いていたことを忘れていた。」
「イニシャル?」
「いや、なんでもない。こっちの話だ。
とにかく、エリーゼは触りはしたが盗んではいないということか。
わかった。信じよう。」
「おい、ちょっと待てレナード。
俺の場合なかなか信じなかった癖に、
どうしてエリーゼの場合本人の証言をすんなり信じるんだ?」
「きっとそれはアシスト師団長の日頃の行いが……。」
「俺の魔導の実験台と試験体、どっちがいいか特別に選んでいいぞ、秘書。」
「やだなぁ、冗談に決まっているじゃないですか。あはははは。」
「……これでアシストとエリーゼのアリバイは取れたということか。」
「なぁ、レナード。
お前がそこまでして探す犯人が見た封筒の中身って、
一体何が書いてあるんだ?」
「極秘だ。」
「どうしてもか?」
「どうしてもだ。」
「……これは探れば弱みを掴めそうだな。」
「あのー、アシスト師団長、今なにかぼそっと怖いこと言いませんでした?」
「ああ、いやいや、なんでもない。
……どうせ目が覚めちまったことだし、ちょいと調べてみるか。
じゃ、俺はそーゆーことで。」
「今の目は……明らかに何かを企んでる様な目だった気が……。」
「私もそう思ったんだけど……大丈夫かしら?
よからぬ事考えなければいいけど……。
あとで様子見に行くべきかしら?」
「その方がいいかもしれませんね……。
ところでレナード師団長、
『A』ってなんなんですか?」
「極秘だ。」
「……まぁ別にいいんですけど。」
「残された容疑者は アーク、ベル、ユリア、コペルニクスの4名か。
4人の中で一番出現頻度の高そうな人物というと……アークだな。
よし、探しに行くぞ。」
「あ、はい。」
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