Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
パン屋ソフトブレット

木彫りの看板の掲げられた小さなお店。
建物自体には相当の年期が入っていると思われるが、綺麗に掃除されているために古くささをあまり感じさせず、むしろどこか懐かしい雰囲気を醸し出している。

ショーウィンドウ越しに見える店の中では、茶色の髪を持った女性がパン生地をこねている。


アリス 「パンの焼け具合は……いい感じね。」

デニス 「ねぇおねーちゃん、」

アリス 「なぁに、デニス?」

デニス 「昨日からずっと疑問だったんだけど、きすまーくってなに?」

アリス 「き……」
(そういえばこの間、レナード将軍とキスしてしまったけど……
 本当に想いは伝わったのかしら?)

デニス 「ねぇ、それって丸いの、四角いの?」

アリス (でもあれだけ勇気だしたんですもの。
 きっとレナード将軍も胸をときめかせてくれたはずよ。
 でも……胸がときめく……だけ?)

デニス 「それともおいしいの?」

アリス (あっ!そうよ! 普通の感覚を持っている人だったら
 異性に突然キスされたりとか急接近されれば誰だって胸は高鳴るわ。
 その動悸を恋に錯覚されたら……だめよ、それは本当の恋じゃないわっ!)

デニス 「……おねーちゃん?」

アリス (ううん、だめよ、そこで負けちゃダメっ!
 もしそうでも、これから本当の恋にすればいいのよっ!
 そうよ、レナード将軍にふさわしい女性になればいいのよっ!)

デニス 「うぇええん、おねーちゃんがまた無口になっちゃったよぉっ。
 なにが悪いのかよくわかんないけどごめんなさいぃぃっ。
 やっぱり僕アスパラ畑で生まれたんだうぇーん。」


・・・


「……何か入りづらそうな雰囲気ですよね。」

レナード 「ふむ……何か色々と事情があるのだろう。後でまた来るとしよう。」



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▽ハーシェル邸へ行く
▽ラントシュタイナー邸へ行く

★★



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