王都シルバニア
中央公園
遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。
噴水から少し離れた所に石を積み上げて作られたオブジェの上では、女の子が読書に耽っているようだ。
にゃーん。
「あ、猫だ。」
にゃーん。
「猫って水が嫌いって聞くけど、
この猫はよく噴水の側にいるけど
水が怖くないのかな……?」
にゃーん。
「ん?噴水の囲い石がどうかしたの?」
にゃーん。
「……あれ?
よく見ると何か刻まれている?
かなり削れてよく見えないけど……」
「『……ステラ・テスラ?』」
「……なんで公園の石にこんな文字が刻まれているんだ?
どうみても昨日今日で出来たような新しいものじゃないし……。
ねえ、何か知ってるの?」
にゃーん?
「……猫が知るわけないか。
まぁいいや。
別の機会にでも誰か知っていそうな人に聞いてみようっと。」
にゃーん。
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▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
★★
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