Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
中央公園

遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。

噴水から吹きあげる水しぶきの回りで、子供達が追いかけっこをしている。



アーク 「うん、
 そういえば小さい頃この公園で
 よく遊んでいたなぁ。」

「例えばどんな遊びとかしていたんですか?」

アーク 「影踏みとかしてよく遊んだなぁ。
 幼心に自分の影を踏むまいとしているうちに、
 気が付いたら知らない場所に来ていたりとか。」

「…………気づいて下さいよ、途中で。」

アーク 「あと『だるまさんがころんだ』、とか。」

「……あのー、この大陸にもそんな遊びあるんですか?」

アーク 「『レミィさんが寝込んだ。』」

「は?」

アーク 「『ジュリアさんが笑った。』」

「……あのー、アークライト師団長?」

アーク 「なんとなく似てない?」

「……似てません。」

アーク 「そうか、それは残念だ。」

「ところで突然どうしたんです?そんなこと言い出して?」

アーク 「…………さぁ、それが僕にもさっぱり。」

(アークライト師団長の思考回路って一体……。)



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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