「ねぇねぇねぇ、秘書ちゃん、知ってるー?」
「え?何をです?」
「アークの方向音痴矯正計画。」
「は、はい?」
「アークが小さかった頃ねぇ、マリアママに
『迷ったら木の年輪を見るのよ』
って教わっていたらしいの。」
「なるほど、それなら方向は間違えませんよね。」
「でね、アークったら迷ったときのためにって、
いつでも木の年輪を持ち歩くことにしたらしいの。
しかも見やすいからって、両腕いっぱいに抱えるぐらいの大きさの。」
「……持ち歩くって
あのー、それって根っ子が地面についていないから
方角を調べる意味がないんじゃ……。」
「そうなのよー☆
だからどこまでも同じ方向に歩き続けちゃってー。
壁にぶつかるまで歩いていたっていうんだからアークらしいわよねぇ。」
「…………普通ぶつかる前に気づくと思うんですが……。」
「でねでね、
いつまでたってもらちがあかないから
そのうちに地図を持ち歩くようにって、マリアママに言われたらしいの。」
「確かにもっともですよね。」
「それ以来、壁にぶつかると木の年輪を地面に置いて、
地図を見るようになったんだけどその度に年輪を地面に置くもんだから、
進行方向がころころ変わっちゃってー☆」
「…………ひょっとしてそれって、
ただでさえきちんとし方角が掴めていないのに
ますます状況悪化しません?」
「そうなのよー☆ もうそこがアークらしくてー☆」
(それってアークライト師団長らしい……のかなぁ?)
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