「アークライト師団長。」
「うん、なんだい?」
「もしかして、小さい木の切り株とか持ち歩いていたりしません?」
「うん持ってるよ。けど、どうしてそんなこと知っているんだい?」
「…………いえ、まぁちょっと。」
「うん、でも最近はずーっと勘で道を選んでいるから
使わなくなっちゃったんだけどね。
あ、そうそう、さっきマルス君に地図貰ったんだ。」
「地図?」
「うん、これ。
でもね、何度見ても
現在地点が僕にはさっぱりで。」
「…………ってアークライト師団長、
これって地域地図じゃなくて
世界大陸地図……。」
「でも地図なんだよね?」
「ってあれ?
この大陸ってこんな形してましたっけ?
なんとなく近い気もするけど明らかに違うような……。」
「うん?」
「いえ、それだけでなく書かれている地名が今の物とほとんど違うんですけど。
辛うじてアルゲンタイン、フェーゴ、シャイル地方といった古名だけが
スペル違いで残されているだけのような……。」
「うん、そう言われればそうかもしれない。」
「あのー、この地図ってもしかして、
旧文明時代のものだったりしません?
書かれている年号も今使われている年号と異なっていますし。」
「そうか、だから道が載っていなかったのか。」
「いや、それ以前に地図のスケールからして間違っていると思うんですが。」
「うん、そうか、そうだったのか。」
「ってあのー、今まで気が付かなかったんですか?」
「うん。」
「………………そこで断言されても困るんですけど。」
★★