Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
中央公園

遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。

噴水から吹きあげる水しぶきの回りで、子供達が追いかけっこをしている。



「あのー、アシスト師団長。
 今日帰ってくる予定のジュリアスさんって、
 どんな人なんです?」

アシスト 「いや俺も会ったことないからよく知らないんだ。」

「え?そうなんですか?」

アシスト 「ああ。俺が初めてこの王都に来たのは
 今から300……ああ、いや。
 とりあえずは2年前ということになっているし。」

「とりあえずは……ってなんですか、それ?」

アシスト 「ああ、いや、なんでもない気にするな。
 それより秘書。
 ここに葡萄味のキャンディーがあるんだが舐めてみる気はないか?」

「え?
 ち、ちょっと遠慮しておきます。
 っていうか何が入っているのか怖いんですけど……。」

アシスト 「なに、頭がしびれるのは多分最初だけだ。そのうちに……」

エリーゼ 「ロ・ウ・ク・ス・君!」

アシスト 「げっ! エリーゼ!」

エリーゼ 「今、秘書さんに何しようとしていたんです?」

アシスト 「ああ、いや、なんでもない。なぁ、秘書?」

「えっ、えっ?」

エリーゼ 「嘘おっしゃい!今なにしようとしてたのっ!?」

アシスト 「……もちろん人体実験。」

エリーゼ 「蹴りぃぃぃぃっ!!!」


どごぉぉぉっ


アシスト 「ぐはっ……ぱたり。」

(……ふぅ。危なかったぁ。)



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